今回の上級者向けアニメシリーズは「精霊の守り人」
全26話 2007年
難易度「☆☆/☆☆☆☆☆」
この作品は特に難しい考察とかは必要ないんですけど、
各キャラクターが背負っている事情や背景を軽くスルーして視聴していると
後半が面白さが7割程度になってしまいます。
こんな面白いアニメを100%楽しめないのは勿体ない。
全26話は、今だと相当ボリューミーなアニメのように思われますが、
実際視聴すれば面白くて一気見可能です。
「本来感じるだろう作者のここが違うというものがまるでなくこのアニメが好きで幸福だ」と原作者がコメントしているくらい完璧な映像化を遂げているので
是非、この大作を休み期間にじっくり視聴していただきたいなと思います。
原作者は「獣の奏者エリン」と同じですね
この記事の見方・この作品の楽しみ方
このアニメは、そんなにこんがらがる要素はないんですけど、
この記事と必要となるポイントとしましては
チャグムの事情をちゃんと把握すること、
もう一つは、星読博士のシュガが登場している回が説明が多くてちょっと面倒くさいので、その部分はこの記事で補完して頂ければなと思います。
14話~16話。この部分だけ、このブログで補完して頂ければ問題ありません。
逆に、ちゃんとこの部分を整理しないと、「最初の逃走劇がアクションびんびんで面白かったのになぁ....」という感じになってしまって、終盤が視聴者としては盛り上がらないかもしれません。
このアニメは、原作が小説であることもありまして、動的なアクションではなく、ストーリーの起承転結のロジカルがしっかりしているところが一番のストロングポイントになります。
バルサとチャグムの関係性の変化だったり、チャグムの成長譚を描いている作品なので、ここを口明けながらぽけ~と視聴していると、序盤のアクションゴリゴリがめっちゃ面白くて、そこがピークになってしまいますので、注意する所ですね。
そこを気をつけていれば、最初から最後まで全く失速せず2クール楽しめると思います。
序幕:1話~6話 理想形の導入
命の危機なれば基本面白くなる理由付けがしっかりしているから滅茶苦茶面白い
この作品ほど、完璧な導入を迎えているものはないのではないかとそう思います。
主人公の人生が、とあるきっかけ(川で王族を助けた)ことによって、巻き添えくらって命を狙われる羽目になる。
バルサ2年ぶりに戻ってきて、槍のメンテナンスしようと思ってたら、命狙われたり、思いっきりモテナサレタり、そしたら、第二妃に断ろうが引き受けようが命かけるしかない用心棒の依頼されてっていう1話で状況が180℃ひっくり返って、命からがら逃亡しなければならない。
この緊迫感で一瞬で惹きこまれますね。
・生活が一変する
・命がかかっている危機的状況(今回は物理的に危機的状況ですが、これが青春恋愛ものだとメンタル面のピンチになります。)
アニメによっては3話で動いたりしますし、無難な萌え系やきらら系だったら、単なる登場人物同士の出会いのみで片づけてしまいますが、
このアニメに関しては、この2点を1話で抑え込んでいるので、個人的には「理想形の導入」だと思っております。
また、世界観も作画班が一流なので、一瞬で東洋風ファンタジーの世界観がビンビンです。
例えば、1話で王族と平民との身分差です。我が国の昭和天皇なんて、戦前まで、一般人がお目にかかること自体、禁忌ですからね。王族と対面するなんて基本的にご法度なのが、そもそもですし。
また、金貨。王族の金貨等、金貨によって、足元がばれるっていう金の流れで痕跡がバレるっていうのもそれを世界観にも落とし込んでいるし
2話でも足のつけられ方というのも非常に恐ろしく緊張感がありますよね。
ただ、この緊迫した逃亡劇は6話でとりあえず決着つきます。
このアニメは、根幹はやはり「ファンタジー」アニメで展開されますんで
この危機感は序盤だけというのは若干寂しい所ではあります。
第7話~第16話:第14話~第16話ここ注意!
この記事で解説する必要があるのは第14話~第16話で、第9話~第13話まではサイドストーリーをやることになります。
特に難しい話はないです。
1話完結のエピソード、どれも安定して面白いです。
特に「第8話」の刀鍛冶のエピソードは非常にしびれると思います。
第14話~第16話 一応ネタバレ注意
第14話からチャグムのニュンガロイドの卵について調べるエピソードが数話続きます。
呪術士のトロガイシ
星読博士のシュガ
この敵対関係のある双方のサイドからチャグムのニュンガロイドの卵について何なのか調べていきます。
んで、このエピソードで原因を特定して、これから対策を立てていこうという流れになりますで、ここを理解していないと話の事情を理解しないまま最終決戦となりますので、おいてけぼりになると視聴者側は終盤盛り上がりません。
話がたらたらと長いですが、一旦この記事で話を整理しますので、ついてきてほしいと思います。
といっても、そんなに大した難しい話ではないとは思います。
トロガイシが水の民から聞いた話
(第14話)
退治すること自体が間違っていた
卵を産み付けられた子供は、特別害はないラルンガ(卵喰い)のために死ぬよ
宴の日、春の日、自分で行動を起こす(第15話)
100年毎に水の精霊が代替わりする。
ニュンガロイモは、チャグムの中に卵を埋め込んでおけば安全だと思ったよ
トロガイシは、チャグムは全く害はない存在だけれども、このままだと、チャグムはあの世の方にいる魔物「ラルんガ」に食い殺されるという話(期限は来年の春頃)をゲットします。
一方、シュガ:新ヨゴ皇国、建国正史
(第14話)「トルガルは100年に一度に現れ渇きをもたらす水の魔物を倒してくれと、その地に住む人ヤクーに頼まれた。そこでトルガルは、大聖堂司ナナイと8人の武士と共に青桐山脈の奥地と分け入った。奥にある泉の傍らに一人の幼子が座っていた。幼子は泉を指して『我をあがめよ。我はこの地を水をつかさどるモノ。もし、我をあがめれば、そなたらの地に豊かで実りのある地をもたらしてやろう』しかし、トルガルは魔物の言葉には惑わされなかった。彼はせいしんの剣を構えると、幼子はすいおうに変化して、襲い掛かってきた。3日3晩戦って、すいおうをきりつけるとすいおうの血から泉が流すと、青い光が泉に満ちて清らかな雨となって地を満たした。トルガルは帝を名乗って新王国な名乗った」
この伝承から、卵を宿した幼子はスイオウ(魔物)なので、退治して干ばつを防がなければならない。
だから、これまでチャグムは殺されそうになり、第1話でバルサが用心棒として雇われたわけです。
しかし、この伝承は国を統治するために捏造された物語であったことが発覚
こちらに、チャグム自体に害はないことはわかりました。
シュガが読みこんだ碑文
春の等しき日=春分に卵食いがやってきてチャグムを殺しに来る。
卵は宴の地じゃないと帰らないし
卵自身はチャグムを殺すわけじゃないが、卵を食い殺す何かがくるらしい
ちょうどよくわからんけど、雨の日に、
『母なる水の精霊が我が子たる卵に最後の恵みを与えるためのにゅうろう雲が現れる』
『夏の終わりを迎えた日、大地が雲を吸い尽くすかのように、地上の一点に雲という雲が吸い寄せられ局地的な大雨が降り注いだ』
碑文に描かれていたにゅうろう雲の位置で王子の生存確認して特定
・なんで正史が捏造されたか
すいようとは、恵をもたらす水の精霊。
先住民のヤクーたちは、トルガルていが降りたつ以前から、ナユグの存在に気付いており、その狭間に存在するすいようの恵を理解していた
カイナンナライは、それを脅威と感じて、
表向き別の神話を捏造することでヤフーの伝承を絶やし、我らがシンウム王国の礎を作ってくれた。
しかし、
誤った伝承を伝えることで100年毎の天災を忘れる恐れて、碑文に残していた
「ほしよみの職につきしものは、100年後の天災に備えて、碑文をちゃんと読んでね」と一文に書いてある。
→我々せいどう士の祭りごとにうつつをぬかした怠慢でこのようなことが起こったのだ
老害が自分の否を認めるじゃす
100年ごとに起こる天災に備える
「伝承」って脅威なの?っていう突っ込みあるかもしれませんが、脅威です。
現代のようにインターネットないし、更に、文字を書ける人も限られているし、本も貴重なものですね、ということで伝達手段がほぼありません。
人は昔、「神話」によって知恵を受け継いでいって、人々を一つにまとめあげているんですね。
「夜出たら妖怪とかに食われちゃうよと」かいう昔の日本伝承も、基本的には人さらいとかいるから夜は外出しないようにするための話ですからね、多分。
「宗教」っていうのは、組織をまとめるのにどうしても必要なんですね
中世ヨーロッパで例えるなら、新約聖書を書き換えるようなレベルのことをしたというわけですね
トロガイシは、水の民にもっと事情を聞きたかったけれども、第14話で火の民に襲われましたね、危ないから、もう水の民に会いにいけない。
というわけで、チャグムが殺される理由がなくなったというわけですね
まだ、建国史以前の伝承が残っている可能性があるヤクーの村の所にいこうという流れです
16話・17話は再び逃走劇というか、武人たちに追っかけ回される展開になるので、神回でございます。
「小僧、根性あるな。だがな、命は大事にしろよ」
19話~22話 感想 ネタバレあり
精霊の守り人の解説ポイントは14話~16話に集まっているので、あとはみたまんまだと思います。
なので、ワイの感想を適当に述べていこうかなと。
基本ネタバレというか、19話の時に
シュガが「チャグム王子帰ってきてくれ」というセリフに対してトロガイシやバルサが「お前ら殺しにきたくせに随分な物言いだなこのやろう」と、これはブチ切れですよね笑
そりゃあ、お前らに預けたくないわとは当然なるだろうとは思います。
この回だと思うんですけど、バルサがチャグムにビンタして「親に刃物向けるとはどういう妙分じゃあ!」ってブチ切れるのは昭和の親父みたいなノリも面白いですw
その後の21話に、バルサの過去話をした時に「あの時はジグロを困らせたかったのかな」というバルサのセリフにチャグムがバルサにビンタされた頬を触るシーンが、心情的に細かいことをやっているなぁ感心します。
「ジグロは何を思ってただろう」と言ってますけど、幼少期のバルサが可愛すぎるのと、ロリコンだったんだと思います笑
23話~26話 感想 ネタバレあり
終幕です。
冬を越えてきたる日がきました。
24話で
武人たちがバルサを囲って「どうしても聞きたいことがあるでやんす」って尋ねるシーンですね。
「殺そうと思えば殺せたのに何故殺さなかった。我らを見くびっているようなら面子にかけてもここで斬る!」っていう
「人助けするのに、人殺してたら駄目やん」
「......完敗でござる」
っていうこのシーンが
このアニメで一番好きなんですよね
3話の時の死闘の振り返りですからね、いいシーンでしたね。
武人たちの役割がすごくいいですね。
最終話も
武人たちの統領が
「(バルサを殺そうとするのに)そんなこと辞めろ」とか
「お前らみたいな下賤な奴にこの正面の門を通すわけにはいかん。そっちの門使え」っていうシーンも、カッコいいんですよね
総合点数 96.93 評価 ☆☆
いつもよりは、記事の内容が適当になっておりますが
14話~16話の解説をしっかりおさえておけば、
普通に視聴できますし、
このアニメ逃亡アクション劇ではなく、ファンタジーアニメだと理解した上で視聴すれば、傑作だと思います。
2000年代を代表をするアニメ
その辺と同等の2クールアニメで、トップレベルでしょう。
欠点ないですよね、このアニメ
OPのラルクが合わないくらいじゃないですか
今後の予定を話しちゃうと「新世界より」はやろうと思ってるんですけど
視聴するのヘビーすぎるのでちょっと残してあります
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