上級者向けアニメとは、1回みただけじゃそのアニメの100%の面白さが味わいにくい面倒くさいアニメだが、それが分かれば通常のアニメ以上の解放感を味わうことができるアニメのことを指す。勝手に作ったさっちゃ~んの造語。
上級者向けアニメシリーズ。今回は、櫻井孝宏といえばこれ「モノノ怪」
ノイタミナ枠きましたね~
「座敷童子」と「のっぺらぼう」は「意味わかんねぇ」という感想だったのですが、この記事を作成する上で、今回は何回もみました。これは、100人視聴して、99人理解してない状態で放置されてるわ。こんなん、理解しろっていうのが無理ですが、面白いので紹介していきます
「鵺」と「化猫」は、一目見て面白かったです
- モノノ怪とは?? この記事の読み方
- ここは抑えておきたい最低限知識
- この作品の魅力 「モノノ怪」は、本当に数少ない「ホラーアニメ」
- 1・2話「座敷童子」 ※上級者向け
- 3・4・5話「海坊主」
- 6・7話「のっぺらぼう」 ※上級者向け
- 8・9話「鵺」
- 10・11・12話「化猫」
- 総合点数 95.84点 評価 ☆
- 上級者向けアニメシリーズ:バックナンバー
モノノ怪とは?? この記事の読み方
ノイタミナ枠で以前に放送された『怪 〜ayakashi〜』のエピソード「化猫」の続編で、制作スタッフもほぼ同じである。
謎の薬売りを主人公とし、近世(江戸時代)の日本をモチーフにした世界(ただし、最後のエピソードのみ近代)を舞台に、「座敷童子」「海坊主」「のっぺらぼう」「鵺(ぬえ)」「化猫」という5つの怪異エピソードがオムニバス形式で描かれる。
この記事は、各エピソードの解説を行うが、
特に「座敷童子」と「のっぺらぼう」は、初見殺しであり、
特に「のっぺらぼう」は、あまりにもわかりにくいため解説必須なので、この2つは徹底的に解説する。
残りは初見でみた場合、見落としそうなポイントを紹介して、このアニメの100%を楽しんで頂く
ここは抑えておきたい最低限知識
4話にて説明されるまとめ:
モノノ怪を構成するのは、人の因果(原因と結果)と縁(えにし=周囲の人々、モノとの縁)。
人の情念や怨念にあやかしが取りついたとき、モノノ怪となる。
アヤカシとはこの世の道理とは別の世界に存在する「物の総称」で成り立ちは千差万別であって、「人の霊から成るモノ」や「付喪神のように物が古くなって魂が宿ったモノ」などがいる。
これらは、薬売りの祓う対象ではない。
それに対して、 モノノ怪については、まずモノノ怪の"モノ"とは荒ぶる神のことを指し、"怪(ケ)"とは病のことを指す。
人を病のように祟るのがモノノ怪で、激しい情念や怨念がアヤカシと結びつくことによって生まれるモノ(4話より)
薬売りはモノノ怪の形と真と理を明らかにし、退魔の剣でモノノ怪を斬っていく。
形は、「ヒト」だけではなく「モノ」の可能性もあるというところである。
モノノ怪は、激しい情念・怨念で構成されるので、必ず「理」が存在する。
この作品の魅力 「モノノ怪」は、本当に数少ない「ホラーアニメ」
ホラーアニメに必要な条件は、2つある。
1つ、「死」よりも「怖い」ことで、それは、どういう状況になるかというと「出られない空間」。
もう1つは、「化け物」は登場人物の何らかの原因で生み出してしまったことである。
登場人物が何らかの原因で生み出していない場合は、それは悲劇に巻き込まれたかわいそうな「凡人」というジャンルに組み変わる。
モノノ怪は、2つの条件を満たしており、ラブコメばっかりのアニメの世界の中で、数少ないれっきとした「ホラーアニメ」であり、それと同時に、真相を解明していく「ミステリーアニメ」でもある。
真相を辿っていくということは、作中の中のルールを抑えておく必要があるため、視聴するためにやや気合が入ることになる。
また、アニメーションに関しても、予算が少ない中、「巌窟王」というアニメの作風をうまく組み込んで、少ない動画枚数で斬新なアニメーション演出をみせている
1・2話「座敷童子」 ※上級者向け
ヤホー知恵袋もちょっと、回答怪しかった。
確証的なソースがネットでなんかみつかりにくいほど、理解が難しい。
これは、さっちゃん解釈でいきます
1話で死んだのは、
なおすけ:殺し屋
志乃とお腹の子を殺すため
大旦那様と奥様 志乃と若奥様の間にできた子供だから。
この宿屋は昔、女郎屋だった
女郎屋とは....遊女を抱えて客を取らせる商売、まぁ、風俗です。
江戸時代にコンドームとかないので、できちゃった子供は、
「始末の間」というところで、
宿屋のおばあちゃんが、昔、赤子おろすこともしていた。
この時、座敷童子になる前の子たちは「おめでと~」って送り出そうとしていたのに、引き裂かれてしまった。
- 形:座敷童子
- 真:堕胎した子供たちの赤子の想い(積み重なった激しい情念)が、妊婦の腹をはいて出てこようとしている
- 理:自らがこの人が良いと選んだ人に、望まれて産んで欲しい
でね、この終わり方なんですけど、
薬売りが、志乃さんと座敷童子が会話しているのを聞いて、
座敷童子の「理」がわかった瞬間に、退魔の剣が使えるようになるので、
すぐに斬ったという終わり方です。
退魔の剣は「形・真・理」がわかれば使用できます。
何故こういう結論かというと、「モノノ怪」は、封印もできないので、退魔の剣で斬る方法でしか消せないから。
志乃さんの力で成仏は、無理ですし、実際、退魔の剣を振るシーンもあります。
志乃は、自分の子供と座敷童子も「一緒に産んであげる」と言った後、
「モノノ怪を産み落とす気か?」「やめるんだ、取り込まれるぞ」「私は、私のややこを産みます」と薬売りとやりとりをし、
そのあとに、座敷童子の世界観を志乃はみることになる。
「新しい命」と妊婦を結ぶ赤い結びのようなものがあって、
黄色い赤子(元々産まれてくる命)は→「僕はこの人がいい」と、
産まれることができなかった座敷童子たちは、祝福する形をとります。
志乃さんは、命が生まれる前の座敷童子の世界というのをみて「みんなも産んであげたいけど、自分の宿った命しか産むことができないんだ」と座敷童子を告げる、
座敷童子もそれは云々承知です。
座敷童子達としては、産む側が望んでないのに、産まれようと思ってはいない、あくまでもお互いが望んだ上で産まれたいという「理」があるわけです。
その光景をみた薬売りは、座敷童子の「理」がわかった瞬間に、すぐに退魔の剣を使って座敷童子を斬った、というわけです。
これは、語られていません、映像で「理」を解釈しなければならないため、各自で独特な解釈がされてしまう原因となっておりますが、
座敷童子は、「志乃さんが産むのが嫌だといっても、産まれたいんだ!」という「理」の場合は、志乃さんの言うことに承知しないはずです。
消去法でこのような「理」じゃないかなという結論で今のところ解釈しております。
感想:
扱うテーマが涙を誘う至極の1作なんですけど、1話だときついっす。
3・4・5話「海坊主」
モノノ怪とは、なんぞや?という説明をしてくれる箸休めのエピソード。
妹の怨念による「モノノ怪」なんじゃないかというミスリードが展開を面白くさせている。
- 形:海坊主
- 真:げんけい様の心を隠すげんけいの分身
- 理:妹に恨まれているのではないかという、恐怖心が積み重なっていった
この「モノノ怪」は、げんけいの心の内から発生した「モノノ怪」で、
「モノノ怪」は、暴れ狂い人を病のように祟るのが本質であり、全ての「モノノ怪」が、殺すことが本質というわけではありません。
今回は、げんけいが祟られていたということである。
ラストの佐々木兵衛に関して: 佐々木兵衛の心の半分にも、自分が殺した人による怨念に対する恐怖心から、げんけいと同じようにして、海坊主のモノノ怪が発生したというシャレたサイドストーリー的なオチである。
佐々木兵衛にも影ができて、二人の佐々木兵衛の間に薬売りが間に立っているカットが表示される。
6・7話「のっぺらぼう」 ※上級者向け
問題の「のっぺらぼう」です。
まず、6話は全て「芝居」になります。
だから、佐々木和正惨殺の件 和正の妻を貼り付け獄門と処すことも 「モノノ怪」にお蝶さんがさらわれて、結婚することも 全て「芝居」です。
薬売りもその「芝居」に軽く参加していました。
この「のっぺらぼう」は普段なら真っ先にわかる「形」が、
今回一番わからないというちょっと変わったエピソードです。
ここで「もののけ」の最低限の知識に戻ってみます。
「もののけ」は、人の因果と縁によって成されれば、OK。
それは、自分自身の激しい情念から生まれてもOKなわけです。
自分自身から「モノノ怪」が発現して、対象(お蝶さん=自分自身)に病のように祟る「モノノ怪」も成立してしまうわけですね。
母の願いに囚われ、苦しみの牢に自分を閉じ込めた半生を見せられたお蝶は、
「かか様聞いて!私頑張ったの!」と泣き叫び、
最後に口にしたのが
「私、ばっかみたい…」
という、
今まで決して言えなかった彼女の「本心」。
それを言った途端、
今まで彼女を覆っていた虚構(お蝶さんを欺いて縛り続けるのが目的のモノノ怪)が崩れて、
モノノ怪の「形」が現れたという流れになります。
視聴していると勝手に主観が入りがちですが、お蝶さんの旦那側の家族に対する怨念ではありません。
作中の「理」の表記としては、あくまでも母親に対しての情念です。
ラストの 障子の絵は、クリムトの『成就』のオマージュ
叶う訳などないのに、自分自身をに恋をした、哀しきモノノ怪。
もうその姿を保つことは出来ないが、その記憶と共に、あの男はお蝶の中に存在し続けるのだろうといった形で終わります。
最後の薬売りの「もう、誰も、いない」に関しては、
これは、ワイの勝手な解釈ですけど、
お蝶の亡霊(モノノ怪)がそこにずっととどまり続けていたのかなと思います。
お蝶自身が、実際に生前に旦那家族をみんな殺していたら、自分自身は解放されているので、この「モノノ怪」は出てこないはずです。
自分自身のストレスを別人格が発散させるみたいな感じですか
翼の場合は、他者にエナジードレインをしてストレスを発散させていましたが、こちらは、自分自身を欺く、縛り続けることで、マッマからのストレスで自身が歪みながらも、それを受け止めていたということです。
感想
試みは面白いエピソードです。
昔の難解アニメっぽい解釈ですよね
8・9話「鵺」
瑠璃姫がモノノ怪かと思いきや、という一捻りある展開。
モノノ怪の条件として、「モノ」から成り立つ場合があると先述で説明したが、今回はその「モノ」が対象となる点で他のエピソードとは異なる。
欄奈待=東大寺(呼び名) それを手にしたものは天下人になると呼ばれている「木」 正倉院にあるはずの欄奈待は2つあった。
風の噂で瑠璃姫はんが持っていたと聞きつけてみんなやってくる。
今回のモノノ怪は、「真」が非常に性質が悪い
- 形:見る場所によって姿かたちが違う「鵺」
- 真:東大寺の噂をききつけやってくるものを取り殺し、よなよな香をやらせる
- 理:興味のない人にとってはあなたはただの腐った木。あなたがあなたでいるために価値のあると言ってくれる必要だった。
10・11・12話「化猫」
深度1.5メートルの路下式地下鉄は、着工から2年後の1927年12月30日に開業した。
いきなり、近代が舞台となる衝撃と薬売りの全く変わらない格好に別の意味で恐怖を覚えるが、ラストエピソードに関しては、他のエピソードと比較すると一番わかりやすいと言っても過言ではない。
シンプルに面白い
- ・形;化猫
- ・真:せつこさんの死は作られた自殺であり、その真が知りたいモノノ怪
- ・理:「許さない」というセリフから強い怨念
このエピソードが最も恐怖感のある演出を持っているが「真」に関して、
殺すこと自体が目的としたモノノ怪ではないため、
ラストは死んだようにみえたキャラクター達は、生存エンドとなっている
総合点数 95.84点 評価 ☆
話は、わかりにくいんだけど「穴」がない。
全部、違う側面をみせてくれるエピソードを提供してくれるので、1クールでダルさを感じず、常に緊張感もって視聴させてくれる作品となっております
5つのエピソードに分けてくれると、話を一々考察していかなければなりませんが、中弛みは感じないです
あんまりアニメーション演出として動画のカット枚数が少ない割にダイナミックな演出ができる点も見ものでした。モノノ怪は大好きな1本です
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