2018年人類はニートであふれかえり
中古ゲームの激安販売競争は激化していた。
「ま、まて......!それを買われると......」
「俺にみつかったのが運の突きだったな」
ばたんという衝撃と同時に店員が倒れる。
冷酷にも、この男は
DSのソフト片手に、
倒れた店員を介抱もせず、
自動扉から出て行った。
この街には
破格の金額の掘り出し物を洗い出して
一気に買い占める
「中古荒らし」が存在した。
彼は、幾多もの店員を泣かせてきた。
彼の名前は殺ジン炒飯こと「さっちゃん」
最近ニンテンドーDSを充電器合わせて1500円で購入したのだ
ぶおおおおおおおおおん!
オイル交換をし損ねた軽自動車は、
エンジンをかけただけでもエンジン音が周囲を響かせる
まるで、自己の存在を顕示しているように
「さっちゃんが、うごきよった......」
常に、軽自動車が家に停まっているご近所の「さっちゃん」さんのお家の坊やが、とうとう就職でもするのか?と周辺住民の期待を募らせるが、全くの見当違いだ。
近所に恐怖が戦慄する
そして、さっちゃんは、車を動かす。
今日の目的地は大型中古チェーン店「ブッ〇オフ」だ
早速ゲームコーナーに足を赴いた。
お店の棚にはどれも1000円以上のソフトが並んでいる。
さっちゃんは、3dsコーナーなんかに目がくれない。
「俺にプレイしてほしければ、お前ら(3ds)も俺の水準に合わせることだな」
独り言をぶつぶつ呟きながらとあるソフトに目がくらむ
逆転裁判250円
(たしか、このゲームはネットで面白いと評判だった
よし、購入だ!)
さっちゃんは「女なら誰でもいい」という勢いで即買いするのだ。
まずは一つ確保
「ドラゴンクエスト、真・女神転生は500円。これも有名なソフトだが、今回は下見できたから保留だ。逆転裁判と同じく250円くらいにならないかな」
しかし、この判断が後にとんでもない結果を生み出すことになる
後日、ネットで調べた。
速攻で車を走らせて向かった。
しかし
ブック〇フの棚にさっちゃんが望んでいたソフト達はすでになかった。
「ば、ばかな!?」
「噂はもう流れているぞ。殺ジン炒飯」
「お前は!?」
「俺の名は柏木。ブック〇フの店員バイト歴2年。この業界は甘くない。まるで株価のように、『買い』の瞬間に買わなければすでになくなっているのだ」
「......柏木。
ワイが後日購入することを予期していたはずなのに、ほかの客に買わせたな」
「ブックオフの店員として、客に中古品を売るのが俺の仕事だ。誰が買おうが知ったこっちゃない」
「ふざけるな!ワイをなんだと思っている!」
「お前のことは、変な客だと思っているが」
「......必ず、お店のDSソフトをコンプするからな!」
「売られてこないと商品は並べられないさ、次のゼルダの伝説は逃すんじゃないよ」
さっちゃんは、己の未熟さを祟りながら店内を出た。
何事も新しい世界に飛び込むと「新入りの洗礼」があるのは覚悟をしていたつもりだった。
しかし、これほどまでに柏木の思うつぼで動かされるとは、正直悔しかったのだ。
この時、さっちゃんはこの世界の無秩序性、
株のキャピタルゲインに似ている価格変動には
スピード感と無情な判断力が必要であることを悟った。
そして今後さっちゃんには、このスピード感に加え他店との比較が求められる
「とんだ世界に片足を踏み入れてしまったぜ......。柏木、次こそはお前を倒す!」
この物語はまだほんの序章に過ぎない
何故ならさっちゃんはまだ「逆転裁判」しか買っていからだ。
DSの面白いゲームを安く購入しプレイするまで
さっちゃんの中古荒らしの戦いは続くのだ。