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考える剣道とは何か?関連書籍100冊以上読んだ剣道オタクの読むだけで達人になれる最強メゾッド【全日本無職剣道連盟】

 

体育会系撲滅!

スポーツは脳筋がやるものではない、オタクがやるものである。

引用:「無職の100の言葉」著:さっちゃ~ん

全日本無職スポーツ連盟会長兼全日本無職剣道連盟会長の「さっちゃ~ん」です。

昨年、全日本剣道選手権で全日本無職剣道連盟の選手がついに優勝を果たしました。尚、4月に「警視庁」に就職したらしいので連盟からは強制退会となりましたが、全日本無職剣道連盟の会員が優勝したことは悲願です。

ところで、無職・引きこもりの皆様

運動をしているでしょうか?

今回は、ワイの無職期間によって研究に研究を重ねた集大成を一回、一つの記事にまとめたいなと思いまして、この記事を作成しました。

無職の運動能力向上のための特別記事となります。

剣道未経験の方は、「身体の使い方」の章だけ読んで頂き、剣道経験者でリバ剣ニートの方は、この記事を一読して頂ければ、とりあえず七段の領域にはたどり着けるのかなと思います。

この記事は、いつもより、希少性が高く、読むだけで運動能力が向上するレベル内容となっておりますし、剣道経験者にとっても、読むだけで剣道の技術・思考レベルが向上する内容に仕上がっておりますので、

全日本無職スポーツ連盟の会員の方は「身体の使い方」の章だけ読んで頂いて、全日本無職剣道連盟会員の方はは通しで読んで頂ければ幸いです。

是非、剣道場で稽古する際は、会社員と嘘つきながら、リバ剣でもして頂きたいなと思います。

また、「ほしい物リスト」からアマゾンギフト券を定期的に頂いているTakiさんに還元する気持ちで作成しました。

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ワイの剣道の研究歴・この極意を公開する理由

3~5年くらい前、あらゆる剣道書籍を読破した上での剣道記事作成していましが、ある日、武井壮の「身体の使い方」というものに興味を持ち、コロナ期間の間2年間ぐらい身体の勉強を開始しました。

それと並行して、剣道の書籍・更には動画をみて、研究に研究を重ねて、現在に至ります。

お陰様で、剣道に関しては、一目みれば、その人の剣道のレベル・指導のレベルがわかります。

「身体の使い方」がわかれば、剣道だけではなく、どのスポーツにおいての基礎が固まるので、簡単に、どのスポーツでも一定のレベルにまでは上達できるようになっております。

武井壮が「これを教えたら、みんな簡単に上達しちゃうから教えない」という内容を2年かけてワイが紐解いてきた研究の成果の記事です。

また、剣道においての「身体の使い方」に関しては、着手している人は極少数でありますし、希少性という意味ではこの記事はかなり仕上がっているかなと思います。

そんなとっておきの情報なのですが、何故、公開するかというと、「アウトプットをすることで知の肥やしにする」こともあるのですが、「武井壮の危惧しているような状況にはならないだろう」とも思っているからです。

人は事実よりも「誰」が言っているかが重要です。

一般の方も、ニートブロガーのワイより八段の先生の言葉を鵜呑みにするはずです。

なので、公開したところで、一部には、かなり有益にはなりますけど、一般的には影響ないだろうと思いました。

とはいうものの、ワイもソース元をはっきりしないといくらなんでも、説得力がなさすぎるので、最低限として、随所で引用書籍も紹介していきたいと思います。

そのようなことを見据えた上で、今回は、このブログの読者様である皆様の運動能力も上げたいと思いましたし、剣道から入った読者の皆様にも剣道上達してもらって、「実際に、さっちゃ~んと稽古してみたいわ」と思って頂ければ、それでいいかなと思いました。

「身体の使い方」の章

剣道の最初の基礎段階「身体の使い方」原則からじっくりじっくりやっていきますので、長くお付き合いください。

まず、ランニングやダッシュでも1回やってきてください。

そして、この記事を読んで、もう一度、同じことをやってみてください。

タイムが縮まっていると思います。

中学時代の部活動を思い出してやってきてください。

かなり動きが良くなっていると思います。

それほど、ほとんどの現代人は「身体の使い方」を知らないんです。

この章はあらゆる身体の動作の基礎、各種目を練習、剣道を稽古する以前の土台

基礎中の基礎の章です。

そのパンドラの箱を開けてください

極意1「脱力」

カラダは約60%の水分で出来ている

私たちのカラダは、約60%水分で出来ています。※女性は約55%

つまり、身体の中に水(血液・リンパ液・せき髄液等)が60%流れているわけです。

ところで、空気中の床にあるダンベル10キロを持ち上げるのと、水中の中にあるダンベル10キロを持ち上げるのはどちらが簡単でしょうか?勿論、後者ですよね。

私たちのカラダって50~80キロある物体を自分の意思で動かしている割には、ダンベル10キロよりは軽く動かしてますよね、それは、体内に60%の水分があるからです。

ところが、この水の流動性を「力み」によって筋肉の収縮により、筋肉と骨で挟み込んで潰してしまうと、水中の「浮力」の力をうまく使うことができずに、重たい身体をたくさんの筋力で身体を引っ張るという形になるんです。

身体というのは、体内の水分を全身に行き渡らせるようにすることで、まるで、水中でダンベル10キロを持ち上げるような感覚で動かすことが労力を必要とせず、簡単に身体を動かすことができるわけです。

したがって、筋肉を収縮して水の流動性を潰さないためにも「脱力」という概念があるわけです。

筋肉の本当の使い方

筋肉に比例すれば運動能力が向上すると思われがちです。たしかに一定の理由ではそうなのですが、ちゃんと筋肉の機能を理解しましょう。

筋肉の機能:

「人体というのは、骨格を関節で繋ぎ(「関節で支えている」)、骨に付着した筋肉(腱)で骨格を動かす

「人体というのは、骨格を関節で繋ぎ(「関節で支えている」)、骨に付着した筋肉(腱)で骨格を固定する

筋肉には、骨格を動かす働きと骨格を固定するという2つの働きがあります。

ほとんどの現代人の身体の動かし方は、筋肉の「動かす」力と「固定する」力を両方使っているから、すぐ疲れるわけです。

車で例えるならば、サイドブレーキつけたままアクセル思いっきり踏み込むのと同じなんです。

特に、関節自由度の高い重要な箇所は様々な関節の動かし方が可能なので、一か所の部分で真逆の方向に2つの力が同時に働いてしまうわけですね。

筋肉を「固定する」力を使わずに筋肉を「動かす」力だけを使うという技術がまず必要なんです。

したがって、これも「脱力」という概念を使うわけです。

筋力トレーニングの落とし穴:

この記事では、筋力トレーニングについて、具体的に記載しようとは思っておりませんが、重量負荷を行うならば、筋力トレーニングをする際も、筋肉を肥大化する=筋肉にダメージを与えるためのトレーニングではなく、「脱力」を前提とし「動かす」力の強度を上げるようにトレーニングしなければなりません。

筋力トレーニングは一定の効果を得られるのは肥大化目的と同時にある程度は、筋肉の強度が上がるからです。

筋力トレーニングが好きな人というのは、いつしか筋肉の肥大化を目的とするために、身体に負荷のかかる動きがうまくなっていきますが、競技において、身体に負荷のかかる動きは全く逆の作用が働いてしまいます。

筋肥大を目的とした動き、強度をあげる目的とした動きの筋力トレーニングのメニューを考えなければなりません。

ちなみに、ワイですが、スポーツジムがあればデッドリフトは強度をあげるトレーニングなので、やりたいですが、脱力と瞬発を意識すると、基本的には重量負荷トレーニングはやらなくなりました

極意2「重力(姿勢・自然体)」

自然界をまとめているのは、1強い力(核力。原子核をまとめる力)2電磁力(磁石や電荷の間に働く力)3弱い力(中性子を陽子に変化させる原因となる力)4引力(万有引力)と呼ばれる4つの力の働きであると言われています。

万有引力は強さにおいて、一番小さな力になります。

万有引力とは「特殊ではなく、相対的に、全てのモノに存する相互作用と、その相互の関係を示す自然の傾向」であります。

重力とは、地球とモノが互いに引き合う引力といえます。

人類は地球に存在する重力環境に応じて適応(進化)してきた生き物であり重力に逆らう行動をとると余分な力が入り、それが怪我を生じさせます。

怪我は、交通事故とかではない限り、基本的に身体の負荷のかかりすぎにより起こるもので、重力に逆らった行動をとっているということです。

この「自然体」とは、「重力」に従った構えの形成となります。

先程も話しましたが「脱力」をするためには、構えた時点で力みのない「姿勢(自然体)」を作り出さなければなりません。

ところが、一般の方や剣道経験者なら特に「胸を張って背筋伸ばして正しく構えているから俺は大丈夫だ」と思い込んでいます、整体師でもこのように教える人がいます。

しかし、普段の姿勢で「力み」が生じている場合は、その姿勢は重力に逆らった姿勢だと言えます。

人間の直立姿勢を支えているのは脊柱であり、人間は直立二足歩行を始めてから脊柱は他の動物とは違った独自の湾曲を描くようになった。

実際の脊柱の湾曲状態をみたところ、脊柱湾曲線の頸椎部最凹点と腰椎部最凹点と脊柱最凸点とを結んでできる角度aをみると、平背a>165度、正常背165度>a>155度、猫背155度>a、脊柱の正常な角度として、真っすぐではなく、15度~25度、曲がっていることを認識しなければならない。

剣道で「椎間板ヘルニア」をやってしまう選手は、ほとんど、背筋の伸ばしすぎて、カラダ本来の姿勢を失っています。

他にも剣道をやるときに、腰の筋力に効いている人は腰をうまく使えているのではなく腰に負担がかかっている姿勢です。

いままで、学校教育等で「背筋を伸ばして」と指導をされていた方には衝撃的なことで、剣道をやっている人でもスポーツ選手でも信じられないかもしれません。

しかし、これが非常に重要なことですが、腰は少し丸めてください

剣道でも七段の方でも「背筋を伸ばして」いるかもしれません。

しかし、じゃあ、なんで少年剣士が「椎間板ヘルニア」になったりするのか?それは、七段の指導者でもその原因を理解していないまま「背筋を伸ばして!胸張って!」と指導するからです。

怪我をするというのは、指導者の責任でもあります。

身体の背骨というのは棒状のまっすぐではなく、少し丸みを帯びたS字カーブをしています。

椅子に座る時も姿勢をピンと張りつめません。

一番楽な姿勢を探します。

そして、腰が本当に楽な姿勢をみつけて、常に腹圧(腹筋ではなく、腹圧)がかかるようなポジションの姿勢をみつけましょう。

それが本来の自然体の位置です。

「お腹」というのは、脂肪がたまりやすい箇所なのですが、それは「内臓筋」が常に24時間働いているからです。

人のカラダと言うのは腰ではなく、お腹に常に負荷がかかっても平気なようにできています。

先程もいいましたが、「自然体」から外れてしまうと無駄な力みを生みます。

この場合「背中・腰」に対して、無駄な「力み」を生むことになります。

そうなると身体の筋肉の「固定する」力が余分に働き、剣道でも始動が遅くなります。

また、競技によっては、身体の上半身の前傾姿勢度合いが変わります。

身体の上半身の重みを事前に前側に置いておくことで、重力(重り)を前に置いたまま身体を動かすことができます。

逆にいえば、上半身が後ろ側にそっていると、重みが後ろに引っ張られているので、前に進むには余計な体重分前に動かさなければならなくなります。

何度も言いますが、正常背165度>a>155度の範囲とは「腰を丸めて、腹圧(腹筋ではありません、腹圧です)がかかるポジションを探す」「肩回りも少し丸みを作る」形となります。

嘘みたいに思えるかもしれませんが、これを修正するだけで、徒競走100m走れば1秒縮まります。

他のスポーツでも始動が速くなりますし、剣道の打突も速くなります。

背筋を伸ばしてまっすぐ立つと「地面反力」をもらえない

もう一つ、背中を若干丸めることの重要性を説明します。

運動の第3法則:すべての作用に対して反作用が伴い、2つの物体が互いにおよぼしあう作用は常に大きさが等しく逆向きである

世の中の物理法則で共通した方程式の中で作用・反作用の法則があります。これは、壁をタックルしたら、タックルした人がタックルした方向と反対方向に跳ね返るものです。

壁も力を受けるけれども、建物は地球に固定されているから全体の質量は非常に大きいので、加速度はほとんどゼロです。更に、物理では、物理量が変わらないことを「保存する」というが、衝突前の2つの物体がもっていた運動量の総和と衝突後の2つの物体がもっていた運動量の総和はかわりません。

私たちは、地球上で立っている限り、床に対して立っている方向に力をもらいます。

これを「地面反力」「床反力」などといいます。これは、剣道では使われませんが、他の競技でもこの力を利用する動きの書籍などが存在します。

もし、背筋を伸ばしてまっすぐ立つことになると、「地面反力」は垂直方向に真っすぐの方向に流れます。

これだと、地面反力を利用した「前へ行く推進力」の力を利用できないということです。

「重力」を利用した動きというのは、基本的にいうと地面反力による前への推進力をいいます。

しかし、ここで、背中を少し丸めてちょっと前かがみの姿勢、このブログで最も正しいと提唱する姿勢をすると、地面反力の力のベクトルの体内の伝達は、足が接地した方向から、少し前側に地面反力の角度が傾いて、頭や肩の方向に向かっていきます。

肩も前側に押し出す地面反力の力を貰えるので打突も強くなりますし、身体の前さばきの始動も当然早くなります。

不思議なくらい身体の動きの始動が楽に感じると思います。

私は、このブログで、今、物凄く重要なことを言っているのですが、この記事を読んだ10人に9人は信じないと思います。

これだけで説明しても「いやいや、背筋を伸ばした方が構えが大きくなって堂々として綺麗に見えるだろ!」と、どうせ考えるでしょう。

じゃあ、何で、そのような背筋を伸ばすような構えが一般化されているのかは今回は、割愛しますが、おそらく、この正しい姿勢というのを誰も信じないだろうなと思いましたので、今回、公開しました。

ワイもですね、2年前に背筋を丸めるように生活習慣を変えまして、身体が動きやすくなりました。

ちなみに、日本ハム武井壮が、五十幡選手に指導した怪我防止の内容もこれです。

身体の脱力の仕方

力の入れ具合を「濃淡」で考える ※超重要

身体の構造から「脱力」の重要性が理解できたかと思います。

次に、「脱力」のやり方を説明します。

面倒な方はここだけでも読んでください、ここが根幹です。

「脱力」のやり方に関しては武道の達人が色々な表現をしているのですが、ここでは、ワイが一番わかりやすかった表現を紹介します。

脱力というと「力の入れ加減」を考えますが、イメージすると身体全体を力の入れ加減を色の濃淡で捉えるようにしてみましょう。

身体感覚・意識が変わってくると思います。

それを、場所・部位、表面か奥かといった深さ、身体の中に濃淡の差を作っていこうということです。

この力の入れ加減を調整するためには、脳からの指令が的確でないといけません。

剣道で全力を出すときに身体全体が濃くなりがちですが、真に最大限の力を出すには、薄い部分を作っていく必要があるわけです。

色を濃くする意識は、「肘~手先」「膝~足首」であり、肘、膝から内側の胴体部分は色を薄くする 力ではなく、その重さをいかに効率よく自分の側から相手なりにモノなりに伝えていけるか? 肘・膝下それぞれの周囲を取り巻くように濃くして、そこから濃さをその先(手先・足先)へと移動させていく。流していく。

同時に、肘・膝下から根本(肩・足の付け根)のほうへと限りなく薄く(つまり、脱力、あるいは、その部分はないものとする)していく。

肘・膝下を境に、相反する方向に濃さと薄さを移動・流していきます。

意外かもしれませんが、意識は「肘~手先」「膝~足首」で、他の箇所の意識は限りなく薄くなります。

人のカラダと言うのは、その箇所を意識するとその箇所が緊張して「動かす」力と「固定する」力の両方が入ってしまいます。

特に現代スポーツで最も重要だと言われている「股関節」「肩甲骨」といった箇所を使えるようにするには、結果的に「意識しない」という矛盾じみた考えが必要になるわけです。

これは、イチローくらい天才じゃなければ、調べないとわからないことです。

身体の動かす出力の最も大きい股関節まわりの筋肉を効率よく動かすために、意識は「膝~足首」。

強い打突・安定した打突を打つために最も重要な肩甲骨を活かすために、意識は「肘~手先」となります。

他の胴体部分は力を全く入れないのではなく、力の入れ具合の濃淡を薄くしていきます。

この脱力の考え方は剣道だけではなく、すべての動作でも一緒です。

筋力トレーニングをする際も、身体を脱力しながら負荷をかけることで、筋肉の強度を上昇させます。

一般の人がやっている筋トレは肥大を中心とした筋トレで強度も少し上昇するという感じです。

以上のことから、さっちゃ~ん流として、剣道の力の入れ具合は

「左膝~左足首」「左肘~左手先」

ここの力の入れ具合を濃くして、残りは限りなく薄くしていくという方針になります。

もう一度言います。

身体の内部の感覚は全て、構え・打突前・打突後・全て

「左膝~左足首」「左肘~左手先」

この部分を濃くしていくということになります。

よく「左足、左腰、左手」ともいわれますが、「左腰」は重要だからこそ意識せず力を加えません。

肩の力を抜く

現代人は、肩の力が常に入りがちですので、取り上げていきます

剣道の構えを作る際の下準備として肩の力を抜く作業をします。

うつ伏せになって自分の手で反対側の肩に触ってみましょう。

「力抜いて~~」といいながら、力を抜いていきます。それが力が抜けた状態です。

もう片方もやってみましょう。いかがでしょうか。

普段、肩の力が入っている人はかなり肩の力が抜かれていると思います。

その感覚、肩の力の抜き方を忘れないようにしていきます。

肩の正しいポジションは、少なくとも上腕が外旋している状態となります。

上腕が内旋していると、脇が開き肘の骨が外側に向きます。

対して上腕が外旋していると、脇が締まり肘の骨が床側に向きます

肘の骨が床に、脇が締まる状態を作ったまま前腕を中央に持っていき構えを作ってみましょう。

とにかく、力を抜いて抜いて構えていきます。

ワイは、毎回、気をつけており、肩の力を抜きながらプルプル回しております。

剣道の構えのカテゴリーに記載しましたが、肩の力を抜く技術というのも日常生活だけでなく、他の武道・テニス・野球等でも考え方は同じです。

これに関して、剣道ではどのように応用するのかといいますと、「構えの項目」でもサラッと説明しますが、肩を外旋させた状態で構えることにより、常時の構えでも力みをとっていきます。

その時、「肩を外旋させる」という表現だと、関節自由度の高い「肩」を緊張させてしまいますので、周辺箇所の「上腕」に着目します。

この「上腕」を「外旋」させてください。

つまり、上腕を左腕なら反時計回り、右腕なら時計回りです。

すると、肘が内側に手が外側に移動し、自然と脇が締まる形となると思います。肘は床を向いていればOKです。

その状態が少なくとも肩の力が入っていない状態を指します。

剣道の竹刀を握る場合、人差し指に力を入れてしまうと、肩・上腕が内旋してしまいます。

この身体の操作性を確認してください。

剣道の先生はだいたい、手の握り方は細かく説明するのですが、この上腕の使い方を説明はできません。

ただ単に、「脇を締める」といっても上腕を内旋した脇の締め、上腕を外旋した脇の締めでは構えている時の柔らかさに大きく違いがあります。

脇は締めるのではなく、この構えをしていれば自然と締まる。

特に、左上腕は、外旋している状態で脇を締める。そのために、肘は床の方を向いている状態となります。

これは、他のスポーツでも考え方は共通しています。体の余計な力みを抜くためには上腕は外旋させるというのが身体の基礎中の基礎となります。

平衡感覚(センス)をつける

次は文字通りセンス=感覚器官についての使い方を述べる。

主に視覚・聴覚・平衡感覚はそれぞれ目・耳で受けて、それが脳に伝達され神経系に命令を置く。

ところで、人の顔の鼻のライン上に蝶形骨という骨がある

この骨は、前頭葉を支える「お皿」のような形をしているのだが、この蝶形骨が重力に沿って垂直方向に正しく乗っかっている状態が、本来の自然体の形となる。

この蝶形骨が自然に乗った形は実は「顎をやや前に突き出した」状態である

しかし、現代人、現代剣道家は姿勢形成の時に「顎を引け」と指導されることがある。あごを引くと、首が前方へ下げるという形でかけて、それを引っ張りおこすことで、頭の安定を図ることになります。つまり、わざとバランスを崩しながら、それをひっぱりあげることで、頭を安定させて、揺れを防いでいるわけです。だから、剣道ではわざわざ「首筋を伸ばす」と書かれているのは、わざわざ顎を引いてバランスをくずした状態を補佐するために首筋を伸ばしているということになります。

しかし、これでは首の骨を強く曲げているうちに、首の筋肉が凝り固まり、首の隣の胸鎖関節周辺の緩みを奪い、さらに連結している肩甲骨の動きの緩みも奪います。

僧帽筋が収縮するので肩が軽く上がるわけです(前方挙上)

大胸筋あたりも連動して引っ張られていますかね内転や水平内転の動作をする筋肉も連結して収縮している。

構えている時も常にそこら辺の筋肉が収縮状態にあるので、肩周辺が硬くなって緊張してしまうわけです。

先ほど「肩の力を抜く」タスクをしたのに顎を引いてしまっては意味がありません。

剣道ではよく「遠目の目付」とありますが、視覚野はご覧の通り後頭部にあります。

聴覚野は耳の少し上です。

剣道をする上でも、目は後頭部にあるイメージで、耳は耳の少し上にあるように考えると、情報の捉え方が感覚器官と脳が一致しやすくなります。
また、剣道をする際、相手の「目」と合わせることかと思います。日本人は目を合わすことが苦手です。そのため、剣道の構えの際でも、相手の目を見られる場合において動揺や緊張を生まないためにも、視覚の情報の心構えが必要です。

その心構えと言うのは、相手と目が合うことを掴みにいくのではなく、それも「視覚の情報の一部として受け取る」ように目を合わせることです。

まとめ

さて、脱力の重要性と脱力の仕方を述べました。ここまで読んでみて、早速、立ったり歩いたりしてみましょう。

「上腕の外旋」、「顎をやや前に突き出す」、「濃淡で力の入れ具合を表し(胴体は常時、力が薄い)意識するのは、肘から先と膝から先」

最初は物凄く、違和感を感じると思います。

こんな風に動いてはいけないと考えていたら、それは身体が硬くなっている証拠です。

自分の身体に対して動きを「許して」あげましょう。

柔らかい身体の動きは、考え方も柔らかくなっていきます

剣道経験者なんかは、腰をこんな丸めていいのだろうか?と不安に思うことでしょう

段々と、身体に対して自然と力が抜けているポジションを発見していき、自然と力みを取り除いた姿勢へとなっていきます。

これで持久走でも50メートル走でもなんでもやってみてください、タイムが縮まっていることに驚くことでしょう

「剣道の極意」の章

何故、構えに拘るのか? 高段者は竹刀の握り方に拘る

正しく打突できない。

冴えのある打突が出来ない。強い打突が出来ない

メンは得意だけど、コテが苦手

コテは得意だけど、メンが苦手

ツキが打てない

これらの要因を探るために、「構え」に着目します。

ワイの剣道理論では、「構え」さえ正しければ、全ての打突が正しく打てるという理論です。

それくらい、正しく「構え」ることと、正しく力を出力することを一般の剣士はできていないということです。

また、身体の使い方の章と並行して正しい構えを実践してください。

では、何故「構え」に着目するのかを踏まえて、正しい構えを解説します

1構えは動作全体の50%を締めている

先程の自然体を含めて「構え」は非常に重要です。

基本的にスポーツと言うのは、元のニュートラルポジション→動作→ニュートラルポジション→動作の繰り返しです。

剣道でいうならば、構え→すり足→溜め→打突→構え(残身)→打突→構え(残身)ですね。

身体が崩れた状態で打突しても有効打突条件「正しい姿勢」と記載されているとおり、一本にはなりませんし、身体が崩れている状態では強い打突が打てないのは一般的に考えられるはずです。

それならば、必ず構えたところから打突の始動が始まるのは当たり前であります。

すり足をしても元の構えに戻ります。

このように、何らかの動作を起こした後は必ず構えに戻ることから、全動作のうち50%は構えなわけです。

この構えが崩れているということは、全ての打突に影響を及ぼします。

「メンが打てない」「コテが打てない」「ドウが打てない」「ツキが打てない」という課題は、毎回、構えを疑わなければなりません。

構えの「良し・悪し」についてもう一つ「力」について考えます。

2「力」の作用点と方向を定めるため

物理学でいう「力」とは、①大きさ②作用点③方向の3つの量の力の要素のことを掛け合わせたものといっていいのですが、「力」は矢印で表現することができます。

物体に働く力の作用点とは、ベクトルの始点、つまり力のはたらく点を「作用点」であり、そこに力が集中していると仮定できるような物体内の点である。

実際の物体では、力を一点に集中することは不可能で、あらゆる力は、ある定まった面積か体積に分布して作用することとなるが、釣り合いの条件を変化させない限り1つの作用点に集中して考えた方が便利であるので、基本的には作用点は1つとして考えた方が良い。

力の方向とは、作用点を通って、力が物体を動かそうとする方向で、力の作用線と呼ぶ、重力は水面に垂直下方に向かっている。糸によって、物体に力を加えた場合、糸が力の作用線となる。力のように大きさと方向を持つ量は、ベクトル量といわれ、矢印で現す場合が多い。

話は剣道の構えに戻りますが、特に握り方・打突が正しくないと作用点を間違えたり、力のベクトルが違う方向に働いてしまい、打突自体が100%の打突ができなくなってしまいます。

逆に、この部分に着目すれば、面打ち・コテ打ちなどの打突は、それの延長線上でこのブログではあまり語らないことになります。

3意識上ではなく、無意識下で正しい打突を行うため ~小脳~

稽古では、自分が持っているある部分や課題をもって意識的に稽古を取り組む方が多いかと思います。

ところが、この「意識」に対して誤った認識を持っていると、堂々巡りにあってしまいます。

意識下における脳の領域は「大脳」、無意識下における脳の領域は「小脳」であり、身体を動かす癖・習慣に対する命令を出すのは基本的に「小脳」です。

例えば、意識的にゆっくり大きいメンを打突した時は「大脳」が働き、素早い飛び込みメンを打突した時は「小脳」に働きます。

使っている部分が違うわけです

それに、先ほどいったように意識を持って身体を動かそうとするとその意識した部分が緊張してしまうため、意識する部分を間違えてしまうと、動きが硬くなってしまいます。

剣道や運動全般で私たちが使うのは「小脳」です。

「小脳」からの神経回路を構築し、精度を上げていきます。

稽古や試合前に「この状況になったらこうする」という整理はすることはあっても、審査・試合であれこれ考えて動く人はいないと思います。

常日頃、稽古に励んでいる方で、正しい打突に対して、手応えを感じない・物足りないなと感じた場合は癖・習慣に対して焦点を当てなければなりません。

身体の感覚に対して、意識よりも癖・習慣に着目すること。

「この動きをしているということは、構えか打突の冴えに問題がある可能性がある」ということを常に認識しなければなりません。

 

剣道の構え(三角矩)

「左膝~左足首」「左肘~左手先」

先程、内部の身体感覚はこちらで紹介しましたが、それを踏まえて構えを作っていきます。

従来の剣道の書籍でも、剣道の握り方・構えの情報や動画が多々あります。

しかし、今回、自然体や構えの重要性を説いたので、普段の十倍くらいは剣道の構えに焦点を当てるようになったのではないでしょうか。

それだけでも、確実に成長していると思います。

続いては、いよいよ、剣道の構えについて述べていきますが、これに関しても、一般的な構えに対して違うアプローチを行っております。

結論から述べると、ワイの竹刀の握り方は、沼田剣桜会の田原館長仕込みです

www.youtube.com

動画で解説するわけではないので、動画よりもわかりづらいですが、これが出来て、七段か、そうじゃないか、という次元の話なのでついてきてください。

さて、一般的な構えは、上画像の写真の左側になると思います。

正中線に対して、竹刀が真っすぐ相手の喉元をつくようなイメージです。

ワイは、右側の画像の構えで、橋本先生より更に左手の位置を左側に寄せております。

左側の構えだと、コテを打つ時に左側によらないと真っすぐ打てないですし、安定しないんですよね。

私は写真よりも、左手の位置が左股関節によせて、もっと大胆に構えております。

構えのコツ

  • 右手は豆状骨(掌側)を中心に竹刀を当てて、そこから小指・薬指・中指で下から包み込むように握り、親指は、大蓋形骨付近を中心に握る。人差し指には決して力を入れない
  • 右手を身体の正中線に置き、右手で構えを作っていく
  • 剣先は相手の喉元ではなく、心臓を突くように構える。
  • 左手は、親指と人差し指の間を竹刀の上(斜め上)から被せ、小指・薬指・中指で握る。こちらも人差し指は力を入れず、下から支える意識。左手を内側に絞らない。
  • 左手の親指第一関節(MP関節)を中心線として意識する。左手、竹刀の剣先が若干、相手の左目か心臓の方を向くことになる。
  • 竹刀の操作は、基本的に右手は動かさず、左手で竹刀を動かし、基本的には、相手の竹刀の鎬を縦に刷り込むように攻めることで、相手の中心を奪い自分の中心が外れない攻めを作ることができる。
  • 打突をする際、左手を内側に絞ることはしない。竹刀のメン・ツキ・ドウ・ツキ・切り返し、すべての軌道は真っすぐではなくやや斜めの形となる
  • 脇は締めるのではなく、この構えをしていれば自然と締まる。特に、左上腕は、外旋している状態で脇を締める。そのために、肘は床の方を向いている状態となる。(『肩の力を抜く』参照)

他のモデルケースはこちらの書籍の構えがわかりやすいですね

一般的に教わる、左手も右手も真ん中に収めて構える方法ではありません

このように、構えるコツは非常に多くのポイントがあり、剣道の50%が集約されている重要な要素です。

何か、打突と意識のずれが生じるたびに、この構えの項目をチェックしていきます。

打突・手の内

www.youtube.com

この動画の12分までをご覧ください。

竹刀は左手を力点、右手を支点にした、テコ運動により打突を行います。

したがって、打突する瞬間の左手の操作と右手を動かさずに力みをとること、この2点がかなり重要になります。

ここで、先ほどの『さんかくく』構えから打突する際に、左手をわざわざ真ん中に入れ込んでメンを打ってしまうと、せっかくの構えが台無しになります。

左手は常時、左腰のラインから内側に入らないように打突していきます。

そうすると、メンを打つ際、竹刀の軌道がまっすぐではなくやや右斜めによる打突の軌道となります。

これは、メンもコテもドウもツキも同じです。

コテも、右手は動かさずに左手の竹刀操作のみで打突しますので、剣先が天井を向くことはありません。打突部位も自分の左半身側にあるので、左手を絞れば、かってに剣先が相手のコテの打突部位を捉えてくれるようになります。

ツキも意外かもしれませんが打ちやすくなります。

剣先が斜めから相手の喉元に刺さる形になりますが、竹刀が若干、15度くらい時計回りに回りながら突きに行く形となります。これは、力のベクトルでいうと剣先に対して渦巻き状🌀に働きます。これにより、力が剣先の中心に集まりやすくなります。

通常の構えで突いた場合は、力のベクトルが少しでも間違えると、左にそれたり右にそれたりして安定しないと思います。

野球で例えるなら、ストレートは、回転のかかったボールですが、ナックルは回転がかかってないでどこにいくかわからない感覚と似たような感覚です。

  • 右手で竹刀を操作しない。左手で竹刀を操作する
  • 打突する瞬間のみ、左手中指・薬指・小指を握る

では、この打突の仕組みを解説していきます。

打突する瞬間だけ左手首をかためる

竹刀を打突部位を捉えた時、竹刀が打突部位を捉えたり、または竹刀で受け止められた時でもいいでしょう。

パワーの出力、ニュートン力学運動方程式は、F(加速力)=a(加速度)×m(質量)です。

注意:「速度」の変化は、「方向」の変化でも発生する

力が横から速度を速さはあまり変化せずに方向が変化します。

ここで物理では「速さ」と「速度」を別物と捉えます。「速度」はという言葉はその速さだけではなく、方向を含めたもの。

「速度」が変化するといえるので、方向の変化でも「力は加速度に比例する」という法則が成り立ちます。

打突の力を効率よく作用させるためには、打撃面を固くする必要があります。

もし、竹刀が柔らかければ、接触時に竹刀が凹んでしまうので、その分だけ打突部位の打突に対する衝撃力(衝突してから打突部位のスピードがゼロになるまでのスピードvが遅くなり結果として衝突時の運動量mvが小さくなる)が弱まります。

この時、mは質量です。

強い衝撃を与えれば竹刀は「反作用」により、剣先が天井を向く形となります。「速度」の「変化」は「方向」の「変化」でもありますので、運動量mvを大きくすることができます。

このことから、打突する場合、打突部位と竹刀の接触面を硬直させること、剣道でいえば、竹刀が打突部位に当たる瞬間には竹刀のグリップをしっかり握っていなければならなりません。

ただし、だからといって、常に力強く竹刀を握っていると今度は、上肢が思うように動かなくなる。身体を固めるということは、同時に身体が動かなくなることであるので、身体を固める時はインパクトを与える一瞬となります。

力学的な打突の構造:八段の打突とは?

小難しい話ですが、理解すると理論的な打突が可能となり、技の精度が安定します。

竹刀の真ん中辺りを親指・人差し指の二本で支えてみてください。その支えられる点を「重心点」といいます。

竹刀の打突の原理としては、この「重心点」を回転軸にし、竹刀を素早く縦回転することにより「冴え」のある打突が成立します。

実際の所、右手を支点、左手を力点とした「てこの原理」による打突になり、左手に力を加える分、竹刀が縦に30度くらい素早く回転するのが高段者の「打突」となります。

「てこの原理」

てことは,棒を一つの点(軸)で支え,その点を中心として回転できるようにしたものです。
力や移動距離を増幅することができます。

てこには支点,力点,作用点があります。

・支点はてこを支える点です。
筋骨格系のてこでは,主には関節が支点になります。

・力点は力を加える点です。
筋骨格系のてこでは,筋の張力(内力)が作用する点に相当します。

作用点(荷重点)は,力点に加えられた力がてこを介して作用する点,あるいは荷重による力がかかる点のことです。
筋骨格系のてこでは,外力の作用する点であり,筋が動かそうとするものの重心に相当します。

てこには主に3種類あります。

まず「第1のてこ」

第2のてこ、こちらは竹刀の打突に関していうと、作用点が真ん中になることはないので成立しませんので省略。

第3のテコ

竹刀の打突に関しては、物打ちで捉える部分を「作用点」と考えると、私たちは「第1のてこ」か「第3のてこ」どちらが効率的に打突できるかを考える必要があります。

勿論、冴えの打突を習得している人は「第1のてこ」と答えると思いますが、ここでは明確な理由を説明して、より打突に安定性を加えていきましょう。

これを考えるためには力学的有利性という単語が出てきます。

筋骨格系のてこにおける力学的有利性(mechanical advantage MA)とは,内的モーメントアームと外的モーメントアームの比のことです。

力学的有利性 = 内的モーメントアーム / 外的モーメントアーム

内的モーメントアームとは,てこの支点から力点までの距離のことです。

外的モーメントアームとは,てこの支点から荷重点までの距離のことです。

モーメント = モーメントアーム × 力ですので,モーメントアームが長くなれば,モーメントは大きくなります。
つまり,モーメントアームが長ければ,同じ力でもより大きな回転力を生むことができ,回転力を生むとという点で有利であるということです。

内的モーメントアームの方が長ければ,力学的有利性は 1 より大きくなります。力学的有利性 > 1 の場合を力学的に有利な形で、第 2 のてこでは,力学的有利性は必ず 1 より大きくなります。
第 2 のてこは,力を増幅するてこであるといえますが、竹刀では第2のてこは使えません。

内的モーメントアームの方が短ければ,力学的有利性は 1 より小さくなります。

釣り合いを保つためには,筋は外力よりも大きな張力を生み出す必要があります。

第 3 のてこでは,力学的有利性は必ず 1 より小さくなります。
第 3 のてこは,力を増幅することはできませんが,移動距離や速さは増幅することができます。

人体では第 3 のてこが多く,力学的有利性でみれば不利な構造ですが,移動距離や速さにとっては有利な構造になっています。

内的モーメントアームと外的モーメントアームの長さが同じであれば,力学的有利性は 1 です。

釣り合いを保つには,筋は外力と同じだけの張力を発揮すれば済みます。

力学的有利性が 1 になりうるのは通常は第 1 のてこだけですが,第 1 のてこでは,支点の位置によって,力学的有利性は 1 より大きくなったり,小さくなったりします。

つまり、第3のてこは、移動距離や速さによっては有利にはなりますが、力学的構造では完全に不利となります。

第3のてこによる打突でも一応打突として成立しますが、

まとめますと、第1のてこの方が、力学的に有利となります。

作用点と支点の距離が短いほど小さな力で大きな作用が発生します。

竹刀の場合は、鍔元の部分が持てる範囲なので支点である右手がそこを持ち、竹刀を動かさない役割を果たします。

また、支点と力点の距離が長いほど小さな力で大きな作用が発生します。剣道で、支点である右手と力点である左手をくっつけない理由となります。

ややこしいですが、竹刀にあてはめると、左手が「力点」、右手が「支点」、支点と荷重点の間にあるのが「重心点」、物打ちで捉える部分が「荷重点(作用点)」となります。 

竹刀の場合は、支点が重心点にあるわけではないので、力学的有利性が1より若干小さくなります。そのため、若干の左手に対して、外力よりも大きな張力を生み出すように求められます。

てこの原理はわかりました。それでは縦回転させて打突するという原理を知ると一つ疑問が浮かびます。

速いメンを打突する時って、どうなるんだ?

竹刀の物打ちによる打突そのものは、重心を中心とした回転運動によって上から下に向かって打つのに対し、竹刀の重心自体は下から上に向かうわけですから、両者の動きは相殺されてしまい、打突の威力は小さくなります。

二刀や上段の場合には、構えた時点で竹刀の重心は打突時よりも高いところにありますが、中段に構えた場合には打突時よりも低い位置にあります。

このため中段の構えから重心の直線移動によって打とうとすると、竹刀の重心を斜め上方に持ち上げながら打つことになります。

打突の威力を落とさないようにするには、打突時に竹刀の重心を中心とする回転運動の速度を瞬間的に高めてやることが必要です。この作用が一般に手の内の冴えと呼ばれるもの

手の内が決まらない中高生などがこのような重心の直線移動による打突をすると、速いけれども威力のない、ただ当てるだけの打突となってしまいがちです。これを俗に「刺し面」などと呼んでいます。

そこで、刺し面ではない威力のある面打ちを行うためには、竹刀の重心をいったん高い位置まで持ち上げてやる必要があります。

つまり、面を打ったときの竹刀の重心位置よりもさらに高い位置まで重心を持ち上げて、そこから打てば、竹刀の自重を打突の威力に加えられますから、刺し面より遙かに力強い打突が可能になります。

これは、竹刀を相手に向かって放り投げてみれば分かります。

放り投げられた竹刀の重心は放物線の軌跡を描きながら前方に飛んで行きます。

つまり、構えたときの竹刀の重心位置から打突時の竹刀の重心位置まで、重心が放物線を描くように振れば、竹刀は最小の力でスムーズに相手の面に到達するのです。

普通に立ったままで竹刀を振り上げれば、重心は後方に振り上げられてしまいます。

竹刀の重心を前方に向かう放物線を描くように振り上げるためには、振りかぶりと同時に自分自身の身体を竹刀の重心の下に入れるように前進しなければなりません。

つまり、振りかぶると同時に右足を進めて竹刀の重心の下に自分の身体を入れ込んで行きます。

続いて竹刀の重心が放物線の頂点に達して振り下ろすときに左足を引きつけます。

そして、竹刀の重心が放物線の頂点に達するときに左足を引きつけつつ右手の力を加えて振り下ろします。大事なことは、竹刀の重心の動きを意識し、この重心がきれいな放物線を描くような振り方、身体の使い方を心がけて覚えることです。

注意点として、これを意識して取り組む際に、

振りかぶりと同時に右足を進めて竹刀の重心の下に自分の身体を入れ込むような身体裁きをしないと、竹刀の重心の放物線を描く際に、自分の身体が一旦上の方に浮き上がってから打突してしまいますので気をつけてください。

起こりがわかりやすくなってしまいますので、身体自体を上に起き上がるの注意しましょう。

面打ちに対する相手の反応が全く変わっていきます。

理屈っぽく説明しましたが、上手な先生の教えだと、

「階段を下りるように踏み込んでいく」と指導される類のものです。

一般の剣士は、このような打突は出来ておりませんので、以下のコツを覚えると相メンで勝てるようになります。

メンを打突する時、左手の高さ(力点)を相手の額の位置まで上げてから打突する。

こうすることで、自分の竹刀の重心点が相手の面より高くなるので充分に強い打突が可能になり、さらには、振りかぶると同時に右足を進めて竹刀の重心の下に自分の身体を入れ込むことの重要性を掴めるかと思います。

これは、ワイの経験則によりますが、このように打突している人は極一部なので、ワイはこの打突方法を知らない相手ならば、自分より身長の高い相手に対しても容易にメンを出すことが可能となります。

またこの理屈が分かれば、コテ・ドウも竹刀の重心点(おさらいですが、竹刀の真ん中付近で、指二本で竹刀を支えられる場所)を相手の打突部位より高く置いてそこから竹刀を縦回転させればよいということが理解できます。

コテの指導で優秀な指導者は「右手を動かさないで左手を操作する」と言いますが、コテは左手を操作するだけで竹刀の重心点を相手の打突部位よりも上の位置に挙げることができるというわけです。

また、二刀流・上段の片手打ちの重心の軌道が打突部位に向かって斜め下への直線になることが理解でき、片手打ちの習得にも繋がっていきます。

左足の極意

続いて、「足」について語っていきますが、こちらも非常に長文になりますので、覚悟してください。

何故かと言いますと、ワイの「足」の使い方に関しては、剣道の常識とやや反しているからです。

人類は地球に存在する重力環境に応じて適応(進化)してきた生き物であり重力に逆らう行動をとると余分な力が入り、それが怪我を生じさせます。

怪我は、交通事故とかではない限り、基本的に身体の負荷のかかりすぎにより起こるもので、重力に逆らった行動をとっているということです。

この「自然体」とは、「重力」に従った構えの形成となります。

先程も話しましたが「脱力」をするためには、構えた時点で力みのない「姿勢(自然体)」を作り出さなければなりません。

最初、「身体の使い方」の章でワイはこのように述べました。

したがって、足の使い方も正しい歩行の仕方をしなければ重力に逆らってしまい余計な「力み」がうまれます。

ワイは剣道をやるにおいて、

剣道の基礎的な構えの足作りと身体の足の使い方を比較した時にどうしても身体の理と一致しないことが長年の悩みでした。

更に、調べてみると、剣道の基礎というのは、身体の合理性を目指したものではなく、明治時代の富国強兵政策において統一性のある「兵隊」を育成するために作られた構えだということがわかりました。

そのため、背筋を伸ばしてみるといったことも含めて、それは現代人日本人の姿勢を悪くする悪習でした。

古来、武士の足さばきは、宮本武蔵の「五輪の書」おいて「踵(きびす)を踏むべし」と書してあります。

踵というのは、この時代でいうと「足裏全体」と表現するらしいのですが、いづれにしろ現代の剣道の足の構えとは異なる傾向にあります。

剣道指導要綱の足の構えに対して

今一度、剣道の基礎に疑いの目を持ちながら、

現時点でのワイの足の理論を展開していきたいと思います。

一体、正しい歩行とは、どのようであるのか。

先人が研究していました。

正しい歩行を解析:そこから足の作りを考える

剣道の「足」をやる前に、「歩行」から始めていきます。

「歩行」とは、人間の行う移動運動のなかで、もっとも自然なものであり、また、生活のあらゆる面で必要不可欠の運動です。

「歩行の原則」:左足が接地している場合、右足が動き、右足が接地している場合、左足が動く

つまり、右足を動かすためには左足に重心がかかり、左足を動かすためには右足に重心がかかります。

そのため、歩行の際、重心の位置はリズミカルな縦の波を描いていきます。

剣道の中段一刀では、右足から前に出して踏み込まなければならないため、この原則だけでも理解すれば、剣道の構えの際、右足重心で構えて打突すると一旦左足の重心に移ってから打突するため、重心が動き起こりがみえるということになります。

19世紀後半にはいってから、歩行運動が客観的立場から数量的に研究されだした。ガーレット、マレーは靴底にエアーチェンバーを装置し、足の接床時間と遊離時間をとらえました。

また、タグロケットの研究では、歩隔は踵からの進行方向の中心線までの距離をあらわす。

平地では正常人の平均値は6cm。

つまり、脚の横幅は12cm空いている間隔で歩くことになります。

歩行角は、足が中央線となす角度であらわされる。

常歩では歩行角は約15度でした。

膝より上の大腿骨捻れは大腿骨頸部の前捻であらわれ、膝より下の部分では脛骨の捻れは距腿関節軸の外旋となってあらわれ、結局、15度の角度です。

つまり、正しい歩行の足は15度外旋した状態の歩行となりました。

剣道の常識である「足先と膝は相手にまっすぐ向ける」という動作と、身体的に自然な歩行の常識が違うわけです

むしろ、「足先と膝を真っすぐ向ける」と実はO脚の足の構えになります。

自然歩行では、上肢が前方へ約20度、後方へ約10度振られる。足を踏み込んだ時の力の方向は、前下方より、外下方、後下方と回っていく。力のベクトルが縁直線となす角度は前方へは着地直後に10度、外方へは最大5度、後方へは離地直前に10度以上になります。

つまり、踏み込む際は、足の内側ではなく外側に踏み込む形が自然であります。

剣道では左足の「湧泉(検索してください)から親指手前」に重心を置くように指導されている方が多いと思いますが、

実際、左足の母指球辺り外旋立ちで立った場合、母指球だけでなく、小指球にも重心を乗せることが可能で、前後の揺れに対しても足指部、踵部の両方も使えます。

そして、歩行の解析の結果、外旋立ちした状態での小指球重心の踏み込みは、最も自然な動作であり、身体を前に推進させる力となることになります。

あと、膝に関しては、完全に伸ばし切らず、少し曲げた状態が最も自然な形となりました(水中を使った人間の正しい動作を解析した実験より、以下省略。)

以上のことから、原則的に、足は少し外に開く歩き方が最も負荷がかからないということになります。

これは、剣道の「足先と膝は相手の方に向ける」ように構えることを否定しています。

剣道の動画を視聴の際、高段者の剣道をみても、左足が外を向いていますが、意図的にしろ、そうでないにしろ、感覚的にはこの外側の感覚を理解しているものだと思われます。

  • 正しい歩行の足は15度外旋した状態
  • 脚の横幅は12cm空いている間隔
  • 踏み込む際、足裏の外側に力がかかる。子指球重心で構え、踏み込む。
  • 両ひざは伸ばしきらず少し曲げる

さて、まず、一つ目の足の構えの心構えなのですが、やや外旋です。

特に女性剣道家は、足を内側にする傾向がありますし、それは身体が前に進まないことは勿論、怪我にも繋がりますので、一旦、ここで修正していただきたいです。

左重心の構えと足さばき

「歩行の原則」:左足が接地している場合、右足が動き、右足が接地している場合、左足が動く。

つまり、右足を動かすためには左足に重心がかかり、左足を動かすためには右足に重心がかかります。そのため、歩行の際、重心の位置はリズミカルな縦の波を描いていきます。

ところが、剣道では、重心の位置がリズミカルな縦の波を描いてしまうと、身体が上下に揺れてしまい、「起こり」が超みえみえになってしまいます。

そのため、剣道のすり足では、相手に「起こり」がみえないように、打突する前は、左足を右足より前に出さない「すり足」という技術が用いられます。

更に、重心の位置が上下にぶれないようにするために、片側に重心を保つ。

この場合は、右足から踏み込んでいくため、左足は床に接地する状態ですね。

つまり、剣道では常に後ろ足にある「左足」に常に重心を保つ動作が求められます。

すり足をした状態で重心を右足に入れ替えると、右足で左足を引っ張る形のようになることは初心者で多く見られることでしょう。

すり足では、左足は右足より前に出ないため、右足に重心のかかる時間はほとんど必要としません。

むしろ、右足に重心がかかっている状態というのは、左足しか動かせませんから、相手にとっては格好の「居つき」の打突機会を与えてしまいます。

我々、剣道人は、この右足に重心がかかる状態を極力小さくしていかなければなりません。

右足に重心がかかる一瞬は「隙」となり、どの剣道家においても「隙」が生まれることとなります。

強豪道場ではよく「相手の右足が動いた瞬間が打突機会」と言いますが、それは上手な教え方ですね。

というわけで、剣道では「左加重・左重心」というのは非常に重要なこととなります。

※ここでいう左重心の加重具合なんですが、「歩行の時に左足に地面が設置して右足が動かせる状態」程度の荷重です。 あんまり荷重するとバランスが崩れ、力みになり、身体がかえってうごかなくなる可能性もあります。

そのため、踵を床につけて構えますが、何しろ、剣道は性質上、中段で構える場合はどうしても後ろ足(左足)の負荷が大きくなってしまいます。

すり足は、相手の起こりを作らないための足さばきでありますので、打突後に関しては、無理にすり足にこだわりません。

左足に余計な負荷をかけないように、どうしてもスピードが欲しい場合は打突した瞬間だけ左足を前に一瞬出すというのも、その辺はアリだと思います。

そんな左足にとって危険な競技にもかかわらず、過酷な稽古を積み重ねてしまいますと真っ先に「アキレス腱断裂」「ふくらはぎの肉離れ」など典型的に怪我をしてしまいます。

一流の剣道家でさえ、「筋力」に頼った出力をすると怪我はしますし、「怪我は勲章」みたいな考え方をしている人もいます。

ワイがここまで足について多く語るのは、通常の始動では左足を怪我してしまう恐れがあるからでした。

さて、そんなデリケートな左足の使い方なのですが、「身体の使い方」の章から引用します。

この力の入れ加減を調整するためには、脳からの指令が的確でないといけません。

剣道で全力を出すときに身体全体が濃くなりがちですが、真に最大限の力を出すには、薄い部分を作っていく必要があるわけです。

色を濃くする意識は、「肘~手先」「膝~足首」であり、肘、膝から内側の胴体部分は色を薄くする 力ではなく、その重さをいかに効率よく自分の側から相手なりにモノなりに伝えていけるか? 肘・膝下それぞれの周囲を取り巻くように濃くして、そこから濃さをその先(手先・足先)へと移動させていく。流していく。

同時に、肘・膝下から根本(肩・足の付け根)のほうへと限りなく薄く(つまり、脱力、あるいは、その部分はないものとする)していく。

肘・膝下を境に、相反する方向に濃さと薄さを移動・流していきます。

意外かもしれませんが、意識は「肘~手先」「膝~足首」で、他の箇所の意識は限りなく薄くなります。

実際のところ、身体のエネルギーの最も出力される動作は「股関節の伸展」動作でありますが、だからといって股関節を意識すると身体が緊張して股関節が動きません。したがって、股関節の周辺部位に属する足では「膝」に意識を向けます。

剣道では「左のひかがみ(膝の裏)を常に緊張させろ」という言葉があります。

実は、これは正解です。

ただ、「左のひかがみを常に伸ばせ」は不正解です。

膝に関しては、完全に伸ばし切らず、少し曲げた状態が最も自然な形となりました(水中を使った人間の正しい動作を解析した実験より、以下省略。)

意識を左ひざの裏側に置くことで、結果的に身体がスムーズに操作されることを指しています。

やはり、ここでも身体内部の力の入れ具合では、

「左膝~左足首」「左肘~左手先」

を濃くしていくという考えに帰結するわけです。

右膝は少し曲げた状態を保ちつつ、右足に関しての意識はほとんどありません。

「意識」は「緊張」となります。

剣道において最低限、意識する箇所、それが「左膝の裏」となります。

これを実践すると、信じられないくらい、身体がスムーズにピョンピョン前に移動することでしょう。

あと、これは、理屈を省略しますが、足指は床を摘む程度で左足を作ってください。

足指をパーにして広げると足にブレーキがかかります。

五輪書「ひざより足先まで力を入れて」とは?膝を抜く技術

大腿四頭筋から膝、そしてすねの前面に力を入れろという常識的なことではありません。
下り坂で止まろうとする時をイメージしてみましょう。

まず大腿四頭筋に力が入ります。

そして、腰背筋にも力が入り、あごは絶対に前に出さないように力を入れて引いてしまいます。

これは重力によって身体が前に引きずり落されようとするのに抗う身体遣い、身体操作です。

ということは、従来の研究者や武術家による「ひざより足先まで力を入れて」の解釈は、身体を絶対に前に進ませないというブレーキ操作の身体遣いだということになります。
身体は自然に前に進み始めてしまう状況を本当に動き始めるまでの技かな時間一時停止させておくために、膝より足先にちょっとだけ力を入れておく、というのが、この「ひざより足先まで力を入れて」という記述に込められた武蔵の真意です。

このような立ち方をしておいて、いざというときはそのブレーキを解放し一気に動き出す、というのが武蔵の動きだったわけです。

それは、いわば弓を引いて矢を放つ直前に、矢筈(矢の末端の弓の弦を受ける部分)と弓の弦を固定している右手のようだと言ってもいいでしょう。

弓道では矢を放つ瞬間を指して「離れ」という言葉を使いますが、弓を引き絞ったあとの矢はエイっと離さなくても、勝手に離れて飛んでいくのが理想です。

弓の名手というのは、何事もないかの如く涼しい顔をして弓を弾き、あとは話そうとは思わなくても自然に離れていつの間にか的が矢に当たっているものなのです。

武蔵は勝負の時から、この「離れ」の状態が出来ているわけですから、「戦闘開始」となった瞬間の敵への身の寄せ方はまさに電光石火だったと想像できます。

この「離れ」の身体つかいを使ってみると、打ち込んできた相手が全く気が付かないうちに、相手とキスができるほど懐に飛び込むことができてしまうのです。

相手の視点から言えば、そこまで接近されても気が付かないくらいなのです。

そして、間合いが詰められたまさにそのときには、すでに剣が相手の頸動脈の横をスーッと通った後なのです。

それゆえに相手は「気配が感じられないまま首が切られていた」と気づいて、思わずぞ~っとするそうです。

足先、すなわち指の部分をみてみると、右足ではウナ(脛骨直下点)で身体の重量を支えつつ、指先で必要最小限のブレーキをかけていることがよくわかります。

これこそが武蔵のいう「足先まで力を入れ」た状態、「自然に動き出そうとする身体を一瞬とめておくため、あえてブレーキをかけている」状態となります。

  • 正しい歩行の足は15度外旋した状態
  • 脚の横幅は12cm空いている間隔
  • 踏み込む際、足裏の外側に力がかかる。子指球重心で構え、踏み込む。
  • 両ひざは伸ばしきらず少し曲げる
  • 左足の負担をかけたくないなら、左の踵をつける。踵を支持点にして動いた方が床反力をもらえる
  • ひかがみ(左の膝裏)を常に緊張させる。脚に関しては、それ以外は、意識しない。打突する瞬間に力(ブレーキ)を抜いて動きを解放させる動きができれば理想
  • 足指は床を摘む程度

剣道のすり足=「走前歩行」

歩きには、本来の歩きと、特別な目的のための歩きが2種類あります。

本来の歩きとは、普段の生活の中で数メートルに始まり2~3キロくらいを歩いたり、ときには5キロ、10キロを歩く場合に使われている歩きになります。

もうひとつは、専門的な歩きですが、剣道のすり足もそれに該当します。

陸上の短距離選手が、出走前にウォームアップしている場面、歩きから軽いジョギングへという動作を繰り返し始めたとき、あれは典型的なつま先歩行になります。

サッカー選手が歩きながらボールを目で追って、狙いを定めて走り出す直前の歩きも同じです。

こうした特殊なつま先歩行のことを「走前歩行」といいます。

また、サッカーやバスケットボールの試合で、選手が走ったと思えば歩き、歩いたと思ったらまたすぐに走り出すときのあの歩きは「走中歩行」といいます。

いずれにせよ、走り出す寸前に現れる歩行というのは、必ずつま先歩行となります。

このつま先歩行をかかとが厚く出来ている靴を履いて通常の歩きで行うと膝関節も前に出て危なっかしいことになり歩きのパフォーマンスが成立せずスピードも出ませんしバランスを崩すリスクも増え傷害を起こしやすくなります。

走前歩行は、歩幅が狭いという特徴があります。

歩幅を広くすると、つま先歩行の欠点がたくさんでてきます。

歩幅を広くすると何が起こるかというと、かかとの薄い靴でも、つま先で歩くために足首を伸ばす必要が出てきます。

つまり、かかとが厚い靴を履いた時と似たような状況になるわけです。

歩幅が狭ければ、足首の角度が90度近くでも、つま先できます。

ところが、歩幅が広くなるに従って、足首の角度が180度に近づいていきます。

すると、怪我しかねない危険な足のつき方を強いられることになるのです。

走前歩行の重要な所は、直後に走り出した時に、極力スムーズに速いスピードに乗ったり走りに移行できるようにすることです。

その歩きから走りへの移行過程では、ブレーキの要素が一切ないことが肝心となります。

そのブレーキ成分をなくすためには、踵を地面につけないこと。

身体の前方で踵から地面に設置すればそれはブレーキ成分を生じさせます。

かといってつま先歩行も遠い前方で地面につくとやはりブレーキになってしまいます。

というわけで走前歩行の要点は、狭い歩幅でつま先から地面につくことにつきるわけです。

したがって、スポーツの競技中、ストップ&ゴーを繰り返すようなシーンでは必ず走前歩行だと位置づけて歩くようにしなければなりません。

かかとが尽きそうでつかないまま歩いていく時を細かく分析すると、そこには空中に見えないプレートがあることが分かります。

剣道の常識を真っ向から否定「かかと推進」

さて、剣道では「左」腰、「左」足、「左」手、「左」の重要性が著しいわけですが、ここで、剣道の指導として左踵は床に付けずに構えるという動作に置いての弊害が発生します。

さて、走前歩行=すり足に関しては歩幅を広げないで行う分には踵を少し浮かせた足さばきでよろしいのですが、

実際一般の方がやってみると、左側が重要なのに、左の踵を挙げたら、左のつま先の負荷が大きくなるから人間は自然と右半身に体重をかけてしまうわけです。

先程、歩行の原則でも言いましたが、左側に体重を乗せなければ右足が動きません。左側への重心を保つことが要求されるのに、左足を更に局地的に負荷をかけようとしています。

高段者・トップ層の剣道家は、左足は若干踵をあげて、親指の拇趾球辺りを中心を踏み込んで構えます。

しかし、この足の作り方は、局地的に負荷がかかるので怪我へと繋がります。

片脚つま先立ちをした場合、両脚で立っているよりも体重の4倍もの負荷がかかっているのです。

私たちは、無職剣道連盟なので、毎日稽古を積んだり、根性論で稽古をする気のない軟弱なので、いかに身体に負荷のかからず重力に逆らわない動きをするか考えていきます。

というわけで、剣道で一番怪我のしやすい、左足の部分に少しでも負荷を減らすように考えるのならば、踵は床につけて、左足裏全体で身体を支える技術も紹介します

しかし、そうすると、左の踵に関して、「居つき」となるのではないか?

そう思われる方もいると思いますが、そんなことはありません。

勿論、反論があることでしょう。

「踵を重心に置いたら、上半身が後方に反るのではないか?」

これに関して、一見ごもっともな意見で、ワイも最初、床に踵をついて剣道をした時、そうなりました。

しかし、これは、嘘です。

現代剣道家は、つま先重心になれているため、踵を接地した場合、重心を後方に持っていこうとしてしまっているのです。

実際、地面反力を考えた時の比較画像があります。

引用:なみあし研究所

身体がもらえる床反力の方向は実際、踵の方がもらえるわけです。

実際、つま先に重心をかけるよりも踵で重心をかける方が、身体の負荷をかけずに「筋力」ではなく「重力(床反力)」を利用して身体を前に推進することが可能となります。

通常の普通に立っただけの重心落下線は、つま先からみておおむね足のサイズの3分の2くらいの位置にきます。足のサイズを27cmと仮定すると、つま先からの距離は約18cmです。

通常の剣道の構えのように、つま先を支持点にして前進しようとすると、重心落下点をつま先より前に移動させなければなりません。

つまり、モーメントアーム約18cm分のロスとなります。

対して、かかとを支持点にすれば、普通に立った状態で約9cmのモーメントアームが稼げます。重心落下点を移動させる必要もないため、動きの立ち上がりが当然速くなります。

人のカラダを含め地球上の物体はすべて慣性の法則に支配されています。したがって、停止している物体はすぐには動き出しません。

なので、車の場合は、ローギアで力強く、されど比較的ゆっくりと発信するわけです。

そして動き始めれば、今度は慣性の法則で逆に止まりにくくなるので、大きな力は不要になり、ローギアで力が余ってスピードが出ないのでシフトアップしていきます。

かかとを支持点にするというのは、まさにこのローギアでスタートする状態と同じです。

足の骨格構造をみれば一目瞭然ですが、足裏で一番太く大きな骨はかかとの踵骨(しょうこつ)です。

つまり、スピードは遅くても一番強大な力を出せるのは、一番大きくて太い、この踵骨であり、人はかかとを支持点にした時に、初期動作として最大の前身力を発揮することができるわけです。

日本のスポーツ界で長年にわたり常識とされてきたのはいわゆる母指球信仰・つま先たち信仰というスタイルです。

こうした考え方が世の中に蔓延してしまった結果、どうしてもかかとを使えない選手が、1980年代を中心にたいへん増えていきました。

監督やコーチの指導を真に受けて四六時中つま先たちで歩く訓練をした結果、斎野を狩らしていってしまった選手は枚挙にいとまがありません。

というのも、「つま先立ち生活」をしはじめた最初の数か月だけは、実際にパフォーマンスが向上しました。

そうした選手の体つきをみてみると、皆一様にふくらはぎの筋肉がパンパンに太くなっていて、どうがんばっても「かかと推進」を使えない身体になっていきます。

いま、この瞬間地球に対しどう力を加えたらいいかというのは、時々刻刻変わっていかなければなりません。

そうした中で、前方へ移動する瞬間には、かかとに支持点を持ってくるのが、理想であり、つま先に支持点を持っていくのは、全く逆の真後ろに移動する時が最適なのです。

踵をつけた構えの重心は「アウトエッジ感覚」

一般の人が踵をつけて構えると違和感を覚えるのは、重心を従来通り拇趾球重心で構えているからです。

通常の歩行における重心のかかる流れを実験したものがあり過程は省略しますが歩行の際の足の重心の流れはこのようになっています。

つまり、足を離す瞬間だけ親指方向に自然とかかる具合になります。

通常の構えの状態ですと小指側に重心をかけることにより、身体のバランスを保つことができます。

踵を床につけて構えることに決めた場合、例えば、親指側に重心をかけたまま踵を床につけて足を作っていくと、逆に身体のバランスが崩れてしまいます。

なので、構えた左足は外側感覚で構える。

このアウトエッジ感覚も忘れないようにして下さい。

そして、踵を床に付けることができれば、左足の負荷の軽減になり、楽に左重心の構えをすることが可能になり、構えも安定します。

ほとんどの剣道家、特に若い方は、左踵を挙げて構えていますが、ある意味、物凄い技術感覚だなと思います。

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床反力とは??

ここで、一つ、床反力の話をします。

床反力は「重力」に従った動きでありますが、「重力って下向きに働くのになんで力が貰えるわけ?」と思う方もいらっしゃると思います。

これにはある一つの運動法則を理解していないと床反力の意味がわかりません。

それはこちらです

運動の第3法則:すべての作用に対して反作用が伴い、2つの物体が互いにおよぼしあう作用は常に大きさが等しく逆向きである

ここで、小学生の頃、理科の授業で習った物理法則が出てきます。

力とは、①大きさ②作用点③方向の3つの量の力の要素のことを掛け合わせたものですが、この③方向が踵と自分の身体の重心を結ぶと、つま先と身体の重心を結んだ線より傾きが大きいというわけです。

ちなみに、人のカラダの重心点は、上半身と下半身の境目(脊椎移行部)から、さらに下半身を2分割した位置となります。それは、骨盤付近です。

この重心点から外れた方向に、身体の負荷がかかると身体が思いもよらない方向に傾いたり、身体が倒れます。

合気道なんかは、こういった原理をうまく利用して相手を崩していきます。

さて、踵で踏み込む話に戻りますが、踵で踏み込んだ方が結果的に重力方向から逆の床反力を貰うことができるというわけです。

この運動第三方程式の反作用は、剣道の打突の際にも、使うことになります。

「剣道の理合」の章

こちらの章は剣道でよく言われる「攻め」の章です。

よく「攻めろ!」と指導される方は、剣道の攻め方、崩し方に関してどのように行えばいいのかわからなくなりますし、剣道は脳筋のやる武道だと勘違いして学生のうちに剣道を辞めてしまう剣士があまりにも多いです。

しかし、理合を理解しておくと、攻め方の工夫、組み立てを自分で考えられるようになりますし、更に、試合において、四段以上が行っている審判をこちら側の味方にすることができます。

剣道において、みえている景色というのが全く変わるので、この章は是非、読んでいただきたいですね。

「理」とは「ことわり」=「必然」です。

剣道では、偶然性を嫌います。つまり、1本を取った要因がたまたま打突部位を捉えたという形を嫌うわけです。そこには、1本に繋がるまで理由が説明できるような必然性が求められますし、剣道が「剣の理法の修練」です。

そんな「理」合の章です。

昇段審査では六段から「理合」という項目が追加されますが、合格率は20%ほどです。

つまり、六段に合格しない人は「理合」を理解していないということになります。

それくらい、ほとんどの剣士は「理合」をわかっていないんですね。

いままで、素振り1000本と振ってきた剣士たちは意固地になるかもしれませんが、「理合」は学問と同じ感覚で学ばなければ一生身に付きません。

そんな一見、難しそうな「理合」ですが、打突の仕方や身体の使い方の章では、第三者の見方と主観的な身体の動かし方にズレが生じるため、教えるのが非常に難しいことを考えると「理合」は、統一的な「原則(ルール)」を覚えて行動すればいいだけなので、この記事を読んで、稽古を積めば、レベルがあがります。

このルールを知らないで剣道をするのと、知ってから剣道をするのとでは、七段レベルのおじいちゃんにかかった場合、反応が変わります。

そして、「理合」を知れば、自分がどのように動いてどのタイミングで打突すればいいのか理解できますし、高段者の剣道の試合も行動の意図がみえてきて、剣道が楽しくなります。

他の対人競技においても共通している考え方もありますので、人生において大事なことも含まれているかもしれません。

そんな「理合」の章でございます。

そもそも「剣道」とは??

「剣道とは、剣の理法の修練による人間形成の道である」

剣...両刃であり相手も斬れるし自分も斬れる

理...人の力では動かすことはできない物事の当然のすじ道

修練...何度も繰り返し経験を積んで身につけるもの

「人間形成の道」とは?

剣道とは、そもそも、相手をたたき、突き、体当たりしたりするものであり誰かが言いました。「知のない剣道は、ただの暴力である」と「知」とは?それは、知性であり、教養であり、徳性です。昔で言うところの「礼」や「義」も含まれることでしょう。

②剣道の歴史と、剣道人の「人間形成」とは?

彎刀で鎬(しのぎ)造りの刀は日本独特で、平安時代(794~1185)の中頃に出現
江戸幕府(1603~1867)の開府以後、平和な時代が訪れるに従い、剣術は人を殺す技術から武士としての人間形成を目指す「活人剣(かつにんけん)」へと昇華し、技術論のみでなく生き方に関する心法が拡がった。幕府初期には柳生宗矩の「兵法家伝書」、第三代将軍家光のために「剣と禅」を宗矩にたのまれて沢庵が解説した「不動智神妙録」、宮本武蔵の「五輪の書」などは、そうした思想を集大成した兵法書である。
これらの書が武士に問いかけたことは、如何にして死を超越して生に至るかという問題であり、それはそのまま武士の日常生活の教育でもあった。武士は、これらの指導書、また教養書を学び、日常生活は厳格で質素であり、才能を磨き、武術に励み、善悪を知り、一旦緩急があれば藩のために国のために命を捧げることを知っていた。通常の仕事は現代でいうと官僚であり軍人であった。ここで生まれた武士道の精神は264年に及ぶ平和の中で養われ、封建制度の幕府が崩壊しても日本人の心として現代に生きている。

引用:全日本剣道連盟

特に現代人とは異なるのは「死生観」ですね。剣の歴史は殺戮の歴史ではありますが、常に死と隣り合わせていた時代に死をおそれない心を積んでいたことでありましょう。一死よりも名誉を重んじ、一名よりも門地を大事にする時代でした。

これ個人的な見解なんですけど剣道において「下がる」ということが形として「良くない」と言われるのはこの「死生観」からではないかなと考えております。私、スマブラゲーマーの側面も持っていまして「引く」動作って強くてスマブラでは必須概念なんですよ、勿論、間合いをゆっくり詰めていくというのも最重要です。

「剣道はスポーツではない武道である」とは??

まず一般のスポーツの目的は試合に勝つことです。そのため一定のルールの中で新しい技が開発されるのは大いにOK。試合の内容が高度になればなるほど新しい技が開発され、スポーツはそれを「良し」とします。しかし、剣道はこれを「良し」としません。試合、ルールの中で新しい技を開発することは剣道の本筋から外れてしまいます。剣道の「武士道」は伝統継承性を帯びているからです。

真剣で斬り合っていた時代は、新しい技を生み出して剣法が発展されましたが今は真剣で斬り合いません。剣道は「真剣で斬り合っている中、開発された剣の操法」です。竹刀剣道で新しい技を編み出してはいけないのです

この伝統継承性が、剣道が古臭く感じる要因です。

剣道では「練習」ではなく「稽古」といいます

これは古を稽(かんがえる)ということです

昔の真剣でやっていた剣法を稽(かんがえる)ということなのです

そうです

剣道では

真剣時代の剣法を

継承していこうというものなのです

稽古とは?
よって剣道は「稽古」と呼ばれます

「顔面打ち」が最強の剣の操法である by宮本武蔵

北九州市小倉北区赤坂の通称・手向山には、宮本武蔵の業績を讃えて、その養子伊織が建立したと伝えられる顕彰碑があります。巷間いわれるところの「小倉碑文」ですが、ここに次のような興味深い内容が刻まれています

 「宮本武蔵は、およそ十三歳より壮年まで、六十回余り勝負をしたが、一度も負けたことはなかった。そしていつも敵の眉八文字(眉と眉の間)を打たなければ勝つことはできないと決まったように言っており、つねにその的(まと)をはすことはなかった」

 つまり「顔面打ち」こそが剣豪武蔵の必勝の太刀筋だったわけで、五輪書「水の巻」にも「おもてをさす」という顔面攻撃の重要性が説かれています。現代剣道における「メン打ち」技法というのは、竹刀の物打ちで相手の頭頂部を打ちますが、元々は「斬りつけ」の刀法で顔面を打つものだったと考えられます。今はいないと思いますが昔の8段の先生によっては「小手なんて打つな!」と怒鳴り散らす老害もいたほどです。胴も上級者同士の真剣の切りあいでは考えられなかったようです。古来から伝わる剣術諸流派の刀法には、剣を握る親指を切ったり、脇の下を切り上げたり、内腿に刃を当てて押し切るようにしたりと、様々なものがありましたが、そんな中で、比較的多くの流派に見られる刀法に、剣先を小さく素早く振って相手の顔面などを切っ先で鋭く攻撃する刀法があります。巻き藁を一刀両断にするほどの斬激力は必要とせず、素早く鋭く攻撃をすることによって相手の体勢を崩すのが主な目的で、この刀法の後には間髪入れず間合を詰めて、先に述べた「留めの一刀」で敵を仕留める刀法が用いられます。

「斬りつけ」と「斬り下ろし」の違い。剣道は「斬りつけ」の刀法

日本刀には、実は「斬りつけ」と「斬り下ろし」の刀法があります。

居合道に関しては、抜いた瞬間に人を切る「斬りつけ」ととどめを刺す「斬り下ろし」の刀法が2種類ありますが、剣道は「斬りつけ」のみです。

ここに、剣の操法の誤解が生じます。

剣道は相手を一刀両断にするための剣の操法ではないのです。

「斬りつけ」の刀法は、原則としてその一刀によって完全に相手を仕留めることを想定していません。

敵に致命傷を与えることよりも、その斬激によって敵の体勢を崩し、次の攻撃へ繋げることを目的としています。

すなわち、一太刀で終わることなく、二の太刀、三の太刀への変化をあらかじめ考えていますから、万一相手にかわされてもすぐに次に対応できるよう、斬りつけた後の体勢が何よりも重視されます。そのため斬りつけた太刀はほぼその位置で止まり、後ろ足を瞬時に引きつけて足幅を狭くし、比較的高く動きやすい姿勢を保ったままで次の変化に備えます。もちろん「斬りつけ」だからといって、最初から二の太刀、三の太刀への変化を推奨するものではなく、またその斬撃の威力そのものを軽視するものでもありません。当然のごとく一撃の威力は追求されますが、ただしそれはあくまで次への変化の対応を想定した範囲内で行われます。

また、
 ・剣道の技法が初太刀を大切にし、比較的遠間から飛び込んで打つのを基本とすること。
 ・打突時にも腰高の姿勢を保ったまま、その姿勢が崩れることを嫌うこと。
 ・打突後の残心を非常に重視することなど、
これまで「剣道の様式美」という観点で捉えられてきたことも、このように剣道が実戦を想定した場合に、初太刀によって敵の体勢を崩し、なおかつ自らの体勢は決して崩さぬようにしながら直ちに二の太刀に繋げることを目的とする「斬りつけ」の刀法を学び修練するためのものであったと仮定することで、いっそう明確な説明ができるようになることでしょう。

実戦においては、自分ばかりではなく相手も初太刀によってこちらの顔面を攻撃して来ます。相手の顔面攻撃に対して、こちらも決して怯むことなく、まさに「相打ち覚悟」で相手の顔面に初太刀の攻撃をしかけることが必要になってきます。これが剣道の修練上の形態として「相メン」というかたちになります。

ですから剣道の修練は「相メン」から始まると言っても過言ではないでしょう。

そして、この修練を通して「捨てる」という非常に重要な精神性を学びます。

つまり、相手に打たれることを恐れず(実戦ならば死を恐れずということになりますが)全てを捨てて「初太刀の一撃」にかける訓練を積むわけです。

技術的には「相メン」の稽古を通して「打突の機会の確実な捉え方」と同時に「相手の打突に対する見切り」を修得してゆきます。剣道の昇段審査においても打突が中途半端になるよりは、相メンが理想形といってもいいですし、「捨て身で打つ」という精神性を剣道は高く評価しています。

剣道では打つべき「機会」がある

剣道の打突機会を考えた場合「相手が打とうとするところ」「相手が受けたところ」「相手が崩れたところ」「相手が居ついたところ」「相手が下がったところ」等色々挙げられると思いますが、「理」合を考えた場合、偶然とった1本では理合になりません。そして、高段者と剣道をやると基本的に「隙」ができないため、偶然の1本はほとんど成立しなくなります。高段者と稽古をしてもつまらなくなるわけです。

しかし、高段者でも誰でも唯一剣道では、相手の「隙」でもなく、1本を奪い取る打突機会というのがあります。それは「相手が打とうとするところ」です。そこしかありません。

剣道の一番の主流となっている柳生新陰流では、「相手が打とうとするところ」をとらえる技術というのは、打つタイミングを養うのが難しくて、タイミングを間違えれば先に切られたり、かわされたりしますので、難しい、かつ、精神面も要求される。

だから、剣道は「人間形成」にもなるんだよ!という歴史的流れで江戸時代において「活人剣」として生き残った流派です。

これは、剣道だけでなく、対人格闘競技でも共通した考え方になります。

打突機会がわかったところで次に剣道の技を紹介します。

相手が打とうとするところを捉えるための技

仕掛け技:

飛び込み、払い、抑え、巻きなどの技。「気」の中心を制す技とも呼ばれます。

この技は相手が潜在的に「打とう」という気持ちが切り替わったその瞬間を読んで打突していきます。

一見、自分から飛び込んでいる技に見える仕掛け技ですが、この仕掛け技の根底にも相手が「打ちたい」と思う「心」を読んで打突する瞬間が一番1本が望めると考えられています。それ以外だと、単に、打突を受けられてしまいます。

この仕掛け技は、相手の1手先の更に先を読むため「先の先(先々の先)(『さき』ではなく『せん』と読みます)」を捉える技といえます。

出バナ技:

「技」の中心を制す技とも呼ばれます。この技は、出頭、つまり、相手が打突する直前に打突する技です。シンプルに評価されやすい技でもあります。この出バナ技は、相手が打突しようとする1歩先を捉えるため「先(対の先)」を捉える技といえます。

返し技、すりあげ技:

「体」の中心を制す技とも呼ばれます。この技は、相手が打突を出し切った状態に打突する技です。

この返し技、すりあげ技は、結果的に相手は「打たされてしまった」という形になるため「後の先(待の先)」を捉える技といえます。

剣道では、「相手が打とうとする機会」を「先の先」「先」「後の先」とさらに3つの機会に分解することができますが、いずれにしろ、相手の「打とう」とする気持ちを利用して打突しなければ、必然的な1本として認められないわけです。

この原則を理解して、初めて「攻め」というものが何なのかみえてくるはずです。

それでは、次に「攻め」について説明します。

攻めとは、相手が打ちたくなるような「間合」を測ること

「間合い」とは、自分と相手との間にある距離のことを指します。

そこには両者の技術・体力・精神活動をひっくるめた総合的な働きを剣道では言いますが、総合的な表現を記述することは「オカルト(空間とはどういうものか?)」や「体格」の話もしなければならないので、このブログでは、「物理的な距離」の基本的な考え方を紹介します。

体格や技術によって、多少ズレることはありますけど、一応、標準的な考え方としておさえておいてください。

間合い区分:

「遠間」......一足一刀より遠い間

「触刃の間」.......遠間の一つ。お互いの剣先同士が触れる間

「交刃の間」........お互いの竹刀が交わってる間合い全般をいいますがこの記事では、「触刃の間」と「一足一刀の間」の間として説明します。

「一足一刀の間」....お互い1歩入って打てる間合い。

「近間」.......一足一刀より近い間

このように間合いを区分できます。

何故、間合いを把握していなければならないのかというと、竹刀の剣先の12センチの間(物打ち)に竹刀の打突部位が刃筋正しく当たるという有効打突条件が、明確であるからです。

これは、近すぎると、刀の剣先に当たらないし、遠すぎると、届かない。

踏み込み足1歩で打てる一足一刀の間じゃないと有効打突にはならないですよね。

一足一刀の間だとお互いに一歩入って打てる間合いになります。

1.「攻め」とは、「間合いを測ること」である。「攻めの目的」は、「相手が技を出そうとするところ」を引き出すためにある。

2.つまり、「相手が技を出したい」と思うところまで間合いを測る。

それは、つまり、相手が最も打ちやすい「一足一刀の間(1歩入って打てる間合い)」に調整しながら、間合いを詰めていくことです。

3.相手が打ちやすいところまで遠間から一足一刀の間のギリギリ外側まで前に詰めていきます。相手が、思わず打突をしてしまう。

相手が「打ちたい!」と思うような一足一刀の間のギリギリ外側にまでどちらが先に詰めていけるか、というのが「攻め合い」になります。

これは、相手との「間合い」になります。

相手も先をとるために攻めてくるので、不用意に前に出ることができない。

逆も叱り、相手が不用意に前に詰めてきた場合は竹刀で受けられるし、または、1本を狙いに行くことも可能です。

余談ですが、「大乱闘スマッシュブラザーズ」というニンテンドースイッチ格闘ゲームの「ライン」という考え方に非常に類似しています。

それほど、技を出すといった時の相手との距離というのは非常に重要なわけです。

竹刀には「間合いを測る」ための補助的な役割がある

人という生き物は「前後の空間」を認識する力が弱い生き物です。

相手の位置的には、「横」の位置は目で簡単に捉えられますが、「前後」というのは、「横」ほど簡単に捉えられません。

そこで、竹刀が出てきます

剣道では、竹刀によって自分の間合いの位置情報を理解することができるわけです。

中段同士の立ち合いの場合は、間合いを測るための情報を持つことができます。

竹刀の中結衣が互いに交わるところがデッドライン「一足一刀の間」となります。

「空間認知能力」のために目線を定める

竹刀で間合いを測ることも可能ではありますが、上段や二刀流相手の場合は、使えないので、やはり、人間の持っている「空間認知能力」が重要となります。

そのためには、基礎動作の項目で説明した「顎」、「カンベル平面」の首の位置を保って、反射神経や空間認知能力を保っていきます。

間合いを測るために目付は「鼻と耳」は床に平行の顔位置、顎は引かず、少し前に出すイメージ

いかがでしょうか。

身体の使い方から、理合まで一致してきたのではないでしょうか。

遠間

「一足一刀の間」より遠い間合いを総じて「遠間」と呼びます。「触刃の間」、「交刃の間」も「遠間」扱いになります

触刃の間

互いの竹刀の先端を交わる時の間合い。

初太刀の場合は

1発声する(気攻め)
2相手の剣先の表裏の柔らかさを確認する
3相手より先に間合いを詰める

手順で行います。

触刀の間というのは、1歩入って相手が届かない間合い、かつ、相手の剣先が触れ合っているので「気」を伝えることができるという絶妙な間なんです。

触刀の間というのは、相手が1歩入って相手の竹刀の打突部位が届かない間であり、届いたとしても反応できる打突であるはずなので、反応で、応じきれるし防ぐことが可能です。

初の立ち合い、初太刀においては、必ず表裏の柔らかさを確認していきます。

確認する方法:相手の剣先に対して180度の下半円を描くように剣先を回して相手の剣先の表裏を触る

これで、何がわかるかというと

原則:剣先の表と裏を比較して、柔らかい方が、そちらの技に対して相手は自信を持っている

表が柔らかかった場合:相手は表に対する応じ技を狙っているので、メンを打ってきてほしいがために敢えて中心を譲る動作を取る

裏が柔らかかった場合(表が硬かった場合):この場合は表の剣先が強い場合なのですが、その場合は、裏に対する応じ技には動じないですぐに刷り上げメンか、返しメンを打つ。

気攻めのために自分大きくみせる動作:つま先立ちで自分を大きくみせる

もう一つ、自分を大きくみせるために「背伸びをする」ということもできます。相手も体格の認識を一定に捉えにくくなるという

左右に脚をさばく

相手がどういうタイプかわからない場合、触刃の間の状態から左右で揺さぶってみると相手もそれに合わせて左右に動くか前に動くかをしますので、それで相手を動かすこともできますし、

左に脚を動かして裏交差から剣先をもう一度チェックしたたら、裏交差を嫌がったり、裏に対しての警戒が強かったりも確認することができます。

右に脚を動かして反時計回りで移動してみて、竹刀の表交差の距離感を掴みにくくしながら入り込むのも有効です。

では、相手の剣先の表裏の柔らかさ、体格、特徴、気攻めなどを行ったら、さっそく相手の反応をみながら少し前に出てみましょう。

剣道において初太刀が重要な理由は、

真剣同士の場合に、無駄ぶりがなく一太刀で仕留めたい理念もあるのですが、

このように、全くデータのない相手に対してどのように相手を誘い出していくのかの「理」が詰まっているからです。

さて次は、交刃の間に突入しますので、いつ仕掛けられるかわからない緊張状態に突入します。

相手に先に入られた場合は、「攻め返す」ために2~3センチくらいのすり足で応戦します。

入り過ぎたら、出ばな取られたり、自分が打てる体勢が崩れたりしますので、体勢を崩さず、かつ、攻めの意思表示を表していきます。

触刃の間から中心を制した仕掛け技が成立する

「先々の先」、つまり、仕掛けていく飛び込みメン・コテを成立させるためには、触刃の間でなければ、打突する際に「近間」になってしまいます。

では、この場面からどのように仕掛け技を成立させるかというと

相手が、触刃の間から相手の右足が入った瞬間です。

この瞬間に、こちらも半歩~1歩前に入っていきます。

この時、前に詰めようとした相手の竹刀を少し抑えて自分の中心に持っていく形をとります。

そうすることで、相手の竹刀(右手)はこちらの中心を外すことができる、かつ、相手が一瞬右足に体重が乗る(居つく)状態を作ることができます。

そこから、すかさずメンを打つと。

普段、高段者の先生が講習会等で説明する仕掛けメンはこの流れに沿っています。

これが昇段審査で出来れば7段合格します。

これが、中心を制するメンであり、相手がそれを嫌がって手元を挙げたり、出バナメンを打つのであればコテになるといった流れになります。

ただし、そう簡単に、捉えることはできないですし、基本的に高段者同士の立ち合いになりますと、中々、わかりやすい間合いの詰め方をしないため、結局、「交刃の間」に詰めることになります。

呼び込み:出バナ技・返し技が成立する

同時に「呼び込み」という技術があります。

これは、端的にいうと、左足に重心を持っていったまま左足だけを下げて、

相手の打突を誘い込むというテクニックです。

この時、よく中心を外して誘い込むことも出来ますが、左足を使った相手を誘う技術も存在します。

中心を制した仕掛け技を思い切って打つか、それとも相手を誘い込むような仕掛け技を行うかとなります。

この「呼び込み」は「交刃の間」でも使いやすい技となります

交刃の間

交刃の間とは、文字通り、竹刀同士が交わる間合いです。

この間合いは、お互い1歩前に出れば一足一刀の間となりますので、いつでも打てる体勢を整えている段階にあります。

触刃の間と違って、高段者の剣士はここから、溜めて打突することが可能となりますので、中心を制したメン打ちも、触刃の間と違って一歩入る必要がなくなります。

触刃の間で相手の竹刀の剣先の柔らかさを確認したので、相手が狙っている打突部位を打突するための「誘い」を仕掛けていきます。

先程紹介した、中心を制する打突でも、呼び込みでも構いません。

打突する前のプロセス、剣道の自由度はこの間合いにあります。

・すり足のスピード、緩急、左右、足幅
・溜めた時に中心を制する、外す、担ぐ
「溜め」の必要性とは何か?

ここで間合いの話をすると「溜め」という問題が浮上します。

この記事では「溜め」が出来ている前提で話を勧めたいのですが、「溜め」が出来ていないと打てる間合いが近くなってしまいます。

ちょっと文章では説明しずらいのですが一応紹介しておきます。

「溜め」とは、いわば腰から上を動かさない状態で、かつ、左足を固定した状態で右足を浮かせたまま、上体を前に持っていく動作

ところで「溜め」を行うと「相手に打突するよ」と伝わってしまうから起こりがみえてよくないのでは?と考えられるかもしれませんが、実際のところ相手は手元をあげた瞬間を捉えたい気持ちはあります。しかし、手元をギリギリ上げないことにより相手は受け身の状態で打突することになります。ここに「溜め」の効用があります。

人の理想的剛体
・腕の力は腕の筋肉を固めることに100%用いる

・足の力も足の筋肉を固めることに100%用いる

・腕や足を動かすのは重心移動や腰の動きによる慣性力を伴う

そもそも人体は「足」を使って動かすイメージがありますが、実際のところは「左股関節の外旋力」であります。

そして、足を動かす根本的な動作は重心移動による慣性力です。そこに理想的剛体に伴う動きである「溜め」を推奨する秘密があるわけです。

打突する直前に胴体の慣性力が備わっているか備わっていないかで打突によるスピードが変わってくるわけですね。

さて、「溜め」によって相手よりも打突のスピード、慣性力が手に入るのはわかりましたが、「溜め」てしまったら相手に打突すると悟られてしまうのではないかという問いには応えていませんでした。

まず、この胴体を前に出す動きというのは「起こり」にはなりません。

相手からすると、右足が動き出す気配を感じますが、むしろ、この「溜め」によって、相手の出頭を引き出す効果があります。

「溜め」からの仕掛け技:

「溜め」によって相手が居つく形を誘えた場合はそのままメンを打っていく。相手が「打とう」と思った瞬間の心理を予知して打突する。これは「先の先」の技となり仕掛け技となります。

「溜め」からの出ばな技:

「溜め」によって相手の出頭を引き出すことにより相手に技を誘いますが、慣性力のあるこちらが相打ちになった時に有利な状況を作り、結果的に先程説明した「先」を捉える技、つまり、出バナ技を取れるということになります。

「溜め」からの返し技:

「溜め」ている間に、先に相手が打突してきた場合は、「後の先」の技。

一番オーソドックスなのは「コテ返しメン」などの返し技を打突することができますし、こちらが「溜め」ている間に、敢えて中心をずらすことで相手の打ち気を誘って「メン返しドウ」の形に持っていくこともできます。

これを理解していれば七段・八段です。

あんまり遠間から「溜め」を始動して打ったとしても、相手に応じられたり、または、相手は打ち気がないため、突き返されたり、受け返されたりなど、一本をとらえることができません。

相手の「出ばな」を捉えるためには、相手が打とうとする気配を感じ取る必要があり、その目安として、相手の「右足」が動く気配を感じたらしかけていき、相手の手元が上がる感じた瞬間に、メンを打っていくイメージです。

相手の右足が動き出す瞬間に「溜め」、相手の手元が上がる瞬間(出ばな)、または、相手が右足の動きをとめた瞬間(居つき)を打突する

また、この溜めていく時の剣先の攻め方もたくさんあります。

  • ・構えた状態の位置のまま打突
  • ・相手の竹刀を軽く抑えて打突
  • ・相手の竹刀を強く抑えて打突
  • ・相手の竹刀を表から払いながら打突
  • ・相手の竹刀を裏から払いながら打突
  • ・剣先を少し下に向けて相手の打ち気を誘いながら打突
  • ・剣先を相手の左目に合わせて相手を居つきを狙いながら打突
  • ・剣先を右にずらして、相手の打ち気を誘いながら打突
  • ・剣先を相手の右コテに向けて、相手にコテを意識させて打突
  • ・相手の竹刀を表から巻いて打突
  • ・相手の竹刀を裏から巻いて打突
  • ・相手の胸元を攻めてメンを意識させて打突
  • ・竹刀を縦にして、竹刀を大きく見せてから打突
  • ・大きく振りかぶって打突
  • ・溜めた、一足一刀の間で一瞬止まって担いで打突
  • ・溜めたあとに、右足は固定したまま、左足荷重のまま左足だけ後退して相手の打ち気を誘って打突

というように、竹刀操作のレパートリーが豊富にあります。

剣道の攻めに関する「工夫」はここで考えていきます。

例えば、メンを意識させればコテがあくだろうと考えれば、上を攻めてからコテを打突することを考えますし、裏をかいて、下を攻めてコテを打突することも考えられます。

この瞬間以外は、お互いに構えが中段に納まっており、基本的に手元をあげていく機会はありませんので、やはり、高段者の立ち合いにおいて、「相手が打とうとするところ」しか打てる機会がないということです。

先に仕掛けられた場合と攻め返しの考え方

さて、そうはいっても、「相手が打とうとするところ」という打突機会というのは、唯一無二の打突機会ではありますが、こちらに「溜め」をする瞬間が作れないまま、相手の方が「先」を取ってきた場合に打突すると逆に1本を取られる可能性があります。

明らかに、こちらが1本取れないなという場合は、相手が「溜め」てきた瞬間に表から竹刀を抑えて左加重のまま1歩後退します。

相手からすると、一足一刀の間に入ろうとしたけれども、結局、交刃の間になります。

そして、その後すかさず、こちらが1歩前に入って「溜め」に入ることで「攻め返す」という流れができます。

ただし、「攻め返す」という動作をしなければ、単に「下がる」ことになりますので、多用すると文化的な側面で審判の心象を悪くする可能性もあります。

また、「攻め返し」を理解している相手の場合は、すかさず、前に詰めてきますので、かなり後手に下がる場合もありますし、

宮崎正裕選手は、これを利用して、相手が下がった瞬間、「攻め返す」隙を与えずに一気に前に詰めて、相手の竹刀を抑えながらメンを打突することを得意としていました。

一足一刀の間

お互いの竹刀の中結衣が交わっている間です。

先程、交刃の間で「溜め」を行うと、自然と「一足一刀の間」に到達します。

その瞬間に手元がようやく上がり、打突部位に向かって打突する形となります。

一足一刀の間というのは、非常に危険な間合いで、この間合いに到達した場合は、先に打突した方が有利といってもいいです。

高段者同士になりますと、お互いに「溜め」が入っている状態なので、すぐに打ち出す形となります。

初段~三段や、高齢者の場合に多いのですが、

ここでお互い打たずに構え合っている状況はよくありません。

この間合いでは読み合いは成立しませんので、相手の竹刀の中心を奪って、相手の上に被さるようにメンを打ってしまうという択しかないという意識でいましょう。

打突部位もコテは非常に厳しくなり、メンかツキしかないですね。

トップレベルの方では、たまに、一回打ち出したらかかり稽古のようにお互い連続で打ち出す場面がありますが、それも、この打突した後の一足一刀の間だからです。

この間合いというのは先に仕掛けた方が勝ちですので、最悪前に出るというのが最低条件となります。

初段~三段の学生さんは、よくこの間合いで稽古していると思いますが、メン以外何も打てないのではないかと思います。

そうなると、身長の高い方が得をするという形になりますので、よく覚えておいてください

近間

もしも、お互いに、技を出す「隙」を見出すことができないままお互いが一足一刀の間に入って技を出さなかった場合は「近間」となります。

「近間」は、引きメンを打ったり、その場でメンを打ったり、学生以下ならば、一応、隙をもって打突は可能ですが、試合の方でも近年の暫定コロナルールにより、反則をとられやすくなっています。

高段者の互角稽古の場合は、ここで実のある打突をしたとしても、物打ちで捉えるには近すぎる距離になりますし、仮にここで打突して1本になったとしても、それはたまたま相手が「気を解いた」だけであって、剣の「理」法による1本をこちらが取ることによる修練には至らないため、暗黙の了解で「遠間」に戻って仕切り直します。

「剣道:技」の章

この項目は「剣道:理合」の章を読んでから、読んでください。

剣道の書籍でも簡単に説明できる分野ですので、淡白に紹介します。

項目としては、一番読まなくていい部分です。

今回紹介する技は、剣道の試合だけではなく昇段審査でも通用するように、あくまでも「理合」から外れない範囲で技を習得していきます。

面打ち

剣道の「顔面打ち」とは、宮本武蔵の提唱による(諸説あり)打突方法で、日本刀を操作する際、最も効果的なのは、真っすぐに相手に飛び込んで顔面を斬りつけることです。

そのため、剣道で最も評価が高いどころか、面さえ覚えておけば、他の打突部位への打突は気にしなくてもよいくらいです。

普通の書籍では面打ちのポイントを長々と説明したり、この項目から始めるかと思いますが、これまで、散々、構えや身体の動かし方を紹介したので、それにしたがっていただければ、面が打てるようになるはずです。

説明することは特にないのですが、ここで、他の剣士と圧倒的に差がつく面打ちのポイントをご紹介します。

左手の高さは相手の額の位置から打突する

打突する瞬間は、左手をわざわざ内側に絞り込む必要はない。

相メンを打つポイントとして、相手の上から乗るように打突するという紹介がありますが、全てのメンの左手の位置は高めです。

軌道は、構えたところから、下から打突するのではなく、手元を挙げる瞬間は、上肢90度真上に挙げます。身体は前にすすむけれども、腕は真上から打突するようなイメージとなります。

こうすることで八段のメンで言われる「乗って打つ」という技術の習得になります。

一般的な面の打突軌道だと、まだ相手の面に対して並行に打突せず、若干斜め上から相手の竹刀を当てる感覚になります。

打突の際の、音も断然変わってくるので、これは是非実践してみてください。

また、身長の高い方は、何もしなくても勝手に乗ることができますが、特に身長の低い方がこのメンを理解していないと、高身長の相手に簡単に乗られてしまいます。

もう一度いいますが、メン打ちは上から乗った方が断トツで有利です。

これにより、迎え突きもされなくなりますし、相打ちでも五分以上

小手打ち

メンの次にあげられる重要打突部位「コテ」。

これは、相手の手首の動脈を斬ることで相手を死に至らしめることができるからです。

しかも、相手の打突部位の中でもっとも近くにあるので、これを狙わないわけにはいきません。

顔面打ちの次は、相手の右手を切りつけることになります。

コテの打突ポイント1:

まず、前提ですけど、コテ・ドウを打突する際は、打突部位に目を向けてはいけません。

相手に狙っている技が読まれるだけではなく、打突部位に集中することによって身体も硬くなってしまいます。

コテの打突ポイント2:

これは、打突の項目でも紹介しましたが、右手は動かさずに左手の竹刀操作だけで打突すること

中学生くらいまで37の竹刀だったら、右手で押し込んでも打突することは可能なのですが、一般の39の竹刀になったら、これは必須条件となります。

といっても、大半の人が出来ていないので、コテの習得の難しさを感じられます。

これができないと、相手の鍔元に打突してしまうケースが多くなります

小手の打突ポイント3:

踏み込む際は相手の右足の外側を踏み込むイメージで、

これは、つまり、私の身体の使い方で述べるなら、自分の左膝の方向を、若干相手の右足外側に方向転換するということです。

こうすることで、竹刀は真っすぐの軌道で打突しながらも相手の右手に鋭く打突することができます。

コテは、真っすぐ打突すると、どうしても、相手のメンを食らってしまうんですよね。

というわけでコテを打突するポイントを紹介しました。

次にコテを引き出す方法です。

コテ打ちの稽古をする時は、相手に手元を挙げてもらって打たせてもらうはずです。

そのため、コテを打突するためには、相手に「攻めてきた!」「メン打ってくる!?」等、相手を引き出す動作が必要不可欠になります。

コテ打ちには、メンよりも様々な打ち方がありますので、紹介していきたいと思います。

胴打ち

真剣時代の剣士にとって基本的に「ドウを打たれることは恥」と言われいました。

たしかに、真剣で斬り合う際に、ドウを狙うならコテをいきたいと考えるような気もしなくもないですし、打突の優先度からすると低めです。

一説には、胴打ちの名人がいたそうですが、非常にマイナーな打突部位だと考えます。

剣道でも使えるのは「メン返しドウ」くらいでしょう。

また、最近トレンドで逆ドウを積極的に打突する文化が流れていますが、これはスポーツ剣道の後遺症といってもいいかもしれません。

真剣時代の伝統を鑑みるならば、優先的にはメンの習得となります。

突き打ち

ワイは得意ではありませんし、稽古では自重しています。

それでも、コツをあげるのならば、

このメゾットを習得したことを前提でいうのならば、

腕は伸ばさないで、相手の喉元の位置に左手を高さを合わせる感じで打突します。

「腰で打つ」「下半身で打つ」といいますが、イメージ的が原動力はそこらへんになります。

打突機会で言えば、基本的には相手が「居ついたとき」硬直状態になったときに、

メンでもいいのですが、歳をとってフィジカルに頼れなくなったり、

または、相手の身長が大きすぎる場合、メンを散らすという意味でもこの「ツキ」という択は出てくると思います。

あとがき

いかがでしょうか。

まだ、特に身体の使い方について、剣道についてももっと探求できる部分はあるのかもしれませんし、

間合いの部分に関してはもっとわかりやすく書けないかなとも考えているのですが、

大分仕上がっているメゾットかなとは思います。

最初にも言ったかもしれませんが、

この記事に関しては、密度がめちゃくちゃ高いです。

自分の剣道人生の集大成です。

気が変わればすぐ「非公開」にもしますし、

「不特定多数」の人に積極的に広めようとまでは思ってないので、そっと投稿して埋もれていいかなとも思っています。

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